お米一粒から、政治や世界を覗いてみよう!

「米」という、日本人にとって最も身近で普遍的な食糧を起点に、社会の複雑な構造と人間の業を、実に軽やかな筆力で解き明かしています。

ユーモラスな語り口を通して、人々の無関心と官僚主義が織りなす現代の不条理を照らし出し、政治と経済の重たい論理を、食卓の上のユーモアへと昇華させているのが見事で、思わず唸らされます。

筆者の視線は、狭い国内の米騒動に留まらず、グローバルな視点にまで及び……一粒の米が背負う世界の課題と、それに対する消費者の課題を「これでいいのか?」と鋭く問いかけてきます。

日常のささやかなディテールに、時代を俯瞰する大きな物語を宿らせる知的な筆の力に、心から感服すると共に、米の一粒から、政治や世界を考えさせられる、素晴らしいエッセイです。

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