ワンドリンク制のビストロの存続
ポチョムキン卿
とあるビストロの苦悩
最近、とても美味しいと評判だったフレンチビストロが、わずか一年半ほどで閉店してしまったという話を聞きました。
原因は、驚くほどシンプルで、でもとても切実なものでした。
「お客さんのほとんどが、ドリンクを注文してくれなかった」
ワインもソフトドリンクも、とてもリーズナブルに提供されていたそうです。
料理の価格設定も、コースだけでペイできるような高級ラインではなく、ドリンクの売り上げも込みでようやく成り立つ価格帯。
それでも多くのお客さんが「お水だけでいい」と言い、店はついに運営を続けられなくなりました。
店側の悔しさも分かります。
でも、一方で「飲めないから」「甘いドリンクが苦手だから」「昼間からお酒はちょっと…」というお客さんの声も理解できるのです。
しかも、日本人はもともと小食な人が多く、食事にドリンクまで追加するのは「ちょっと多い」と感じる人も少なくないでしょう。
では、どうしたらいいのか?
たとえば、こんなアイデアはどうでしょうか。
・お茶やハーブティーなど、軽い飲み物を低価格で用意する
・食後のドリンクをコースに組み込む
・「ワンドリンク不要」のコースを用意するが、少しだけ価格を上げる
・「ドリンクを注文できない方は、応援の気持ちで+100円お願いします」と、優しい選択肢を示す
実際、あるお店ではこんな張り紙がありました。
「ワンドリンクお願いしています。でも、飲めない方はどうぞそのままで。
お水にそっと“ありがとう”を添えていただけたら、それで充分です」
なんて優しくて、あたたかいメッセージでしょう。
思いやりって、こういう形でも伝わるんですね。
お互いが、少しだけ歩み寄れたら
「飲めない人」にドリンクを強制するのではなく、
「店を応援したい人」に気持ちよく手を差し伸べてもらうしくみがあってもいい。
それは、チップの文化ではありません。
**“続いてほしいレストランに、次も来たいねと言える仕組み”**です。
ワンドリンクを注文することが、
「また来るね」のかわりになるなら、
「ここが好き」の合図になるなら、
それってちょっと素敵なことだと思いませんか?
最後に
ワンドリンク制を「がめつい」と思う人もいるかもしれません。
でも、それは生き残るためのギリギリの選択だったのかもしれません。
強制じゃなく、お願いでもなく。
それが「思いやりの合言葉」になれたら――
レストランも、お客さんも、もっと笑顔になれる気がします。
ワンドリンク制のビストロの存続 ポチョムキン卿 @shizukichi
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