オアシスの味
碧はる
オアシスの味
星のまわるよる
ぽっかりと部屋にめだつ
窓
よぞらからのカーテンコールが
鳴り止まなかったから
開演する
颯爽とにげゆく室温
団地の巨像をとびこえ星とまわる
紺いろと黒いろと鼠いろの
無機質なトーンの中で一際光る
目立つbuildingのオアシス
七つに分かれるプリズム国境の果て
秘密裏に蠢く国の防衛システムの網目
たどりつきたい
夢のかなうよる
ぽっかりと空いたグラスに
相手の手をにぎるような感触で
ゴールドラム
ジンジャーエール
を優しく
突き刺したシナモンスティックのまわりに
はじけるこまやかな黄色い空砲が
未だ鳴り止まない
冷たいコンクリートの希死念慮をとびこえて
繰り出す
よるの
第三プリズムから第七プリズムへ
パトロール兵はいないようだ
シナモンスティックの
壊れはじめる色彩が
唯一信じられる琥珀色に馴染んでいく
血飛沫がはばたく部屋の
様相が
開けたカーテンによって夜にあふれだし
ここからでもみえる
じゃあね、
と空言葉を外気に口付けして流す
マンホールをかよった痕跡をのこさず
地下通路からオアシスへと向かう片道切符
回転の止まない星の
光の伸びが
排水溝からのぞく/おびただしい数の
警備兵のシステム音が聴こえる
ようやく抜け出した先のアンダーグラウンド
麻薬取引
その密輸
銃器売買
血の交換
人体改造
たちがおこなわれる
中枢都市の
裏で
打ち砕かれる願いの
思いもよらないオアシスの味を知る
これが
未開の地の開拓である
いつもの裏切りである
理想と現実である
やっと混ざりきったラムバックを一気に飲み干すと
快楽の至福を知った
グラスを
地面に叩きつけて割る
ここではなんの不自然もない行為だ
鮮やかな花火と
lightingが夜空に溶け合う
終われない旅
まだ
パーティーはこの先であるのに違いないのに
オアシスの味がどちらかなんて
わたし、分からないでいる
オアシスの味 碧はる @a_o_iharu
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