【連載版】だから僕たちは  の橋を渡る

狐照

第1話

幸成ゆきなりは勘弁願い下げとでも言いたげに顔の中心にシワを寄せてしまった。

原因は、とてつもなく嫌なメモを拾ってしまった事にある。

そのメモにはこう書かれていた。


『だから僕たちは絶望の橋を渡る』


絶望、という文字がかなり神経質な細文字で、丁寧に罫線の間を走っていた。

幸成は知らなかったが、こーゆーのは中二病ってやつ。

見ないであげる、触れないであげる、が正解の反応なのだが、幸成は知らなかった。


木枯らしが始まり寒さ増し増しな今日この頃。

頭が湧くにしても季節が合わない。

という事は、という事だ。

頭のヤバイ奴の、走り書き、という事で。


ゴミ、だ。


内容も、ゴミだし。


幸成は誰かの大事なメモかも、と思って拾った親切心を返して欲しくなった。

顔の中心に溝を作りながら、元の四つ折りにたたみ直す。

そうして廊下に落とし地面にぽとり、死ぬ前に救われた。

何故か、優しい両手で掬われた。


「落としたよ」


救いの主は隣のクラスの超絶イケメン、通称王子の倉敷くらしきだった。

見るには何度か、話すのはこれが初めてだった。

けれど確かに王子の名に相応しい面構えをしている。

同性だのに目奪われ心惹かれるほどその容姿は整っていた。

たしかもう一つ、妙な隠れ名があったような。

関わる機会も気もなかった幸成は、なんだったかなと考えながら「俺んじゃねえよ」そう、言い捨てた。

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2026年3月18日 12:00
2026年5月18日 12:00

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