恒星

六角

恒星



かすかな炎の切れ端が

空中で舞うことも無く空に吸い込まれてゆく

あぶくが割れるように

砂糖が水に溶かされていくように


かすかに甘い香りが

小枝の先の黒い焦げの隙間から溢れ出てゆく

横でそれを笑う君の目は

炎のだいだいが反射していた


かすかにほてった頬が

炎になったようで

触って確かめて

少しだけ汗ばんだ不快を思い出す


かすかに暗くなった夜は

一向に冷めない容器で

何十億もの夢が泡となって浮かんでゆく


見上げた蓋には

いくつもの穴が開いていた

何万光年も前に空いてしまった小さな穴


きっとこのおかげで何万年も

人は燃え続けてられるのだろう


ヒューと鳴いた涼しい風は

きっとあそこから来たのだろう

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恒星 六角 @Benz_mushi

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