『Excel《ログ》で恋が攻略できると信じていた俺は、全感情ヒロインに今日もデータを破壊される』は、理系男子・越智隆之が、感情豊かな少女・犬神千陽、そして個性あふれる科学部の仲間たちとの出会いを通して、「恋」という名の未知の温度に触れていく物語です。
特に印象的だったのは、“心拍数の記録に、ない温度”という言葉。数字には現れない、けれど確かに心に宿るあたたかさが、この作品全体に優しく息づいています。犬神くんの真っ直ぐな笑顔や、弟・諭くんとの屈託ないやりとり、そして“全感情お姉ちゃん”こと義姉・こころちゃんの賑やかな愛情表現――彼らとの触れ合いの中で、越智くんの世界は静かに、けれど確かに変化していきます。
論理では解けない「青春」という感情。その微細な揺らぎを、優しく、丁寧に描いてくれる本作は、読む人の心までもじんわりと溶かしてくれるようです。
次に彼が記録する“感情ログ”には、どんな気持ちが綴られていくのでしょうか。続きをそっと見守りたくなる作品です。
この物語は、「観測」という少し不思議で繊細なテーマを軸にしながら、主人公と周囲の人物たちとの心の触れ合いを丁寧に描いています。
はじめは淡々としていた主人公の視点が、出会いや出来事を重ねるごとに少しずつ温度を帯びていくのが印象的でした。特に科学部でのやりとりは、個性豊かなキャラクターたちの想いや価値観がまっすぐに伝わってきて、読んでいて心がやわらかくなる瞬間がたくさんありました。
感情を「記録する」ことで向き合おうとする主人公と、周囲の“観測者”たちとの化学反応が、これからどんな軌跡を描いていくのか。静かだけど確かな希望を感じさせてくれる、優しくて誠実な物語です。
心拍数、体温、呼吸数。
自分の「身体情報」を常に数値で把握できる高校生・越智隆之は、新たな高校生活も、ただの「環境初期化」の一環にすぎないと考えていた。
そんな彼の隣に現れたのは、犬神千陽。
距離感ゼロ、テンション高め、行動は完全に予測不能。
だが彼女の言葉ひとつ、仕草ひとつが、越智の心拍数を確実に乱していく。
科学部の静かな部室。生徒会長・朝比奈こころとの思わせぶりな応酬。
そして、静寂を裂くように訪れる「異変」――彼女の過去、神社、そして突然現れる「異質な存在」。
数値では測れない感情が芽吹き始めたとき、越智は気づく。
これはただの青春じゃない。
「観測できないもの」に触れた瞬間から、物語は始まってしまっていた。
この物語は、超常と青春が静かに重なっていく、観測系ボーイ・ミーツ・ガール。