タンスイアイロニー

津谷愁

第1話

 アホみたいな人生を送ってきました。自分にはどうも、器用な生き方というものが分からないのです。

 そもそも三尾嘆翠という名前からしてアホらしい。

 母は麻酔、父は泥水、父の親は陶酔という名前をしている。

 全員名前がスイスイ言っているわりには、全員泳ぎが下手である。なにがスイじゃ馬鹿野郎。

 このスイスイ言っている名前の馬鹿供のうち、自分に命名したのが陶酔である。

 コイツは母が自分を出産するために腹を痛めている時、呑気にコンタクトレンズを作りに眼科へ行っていた。

 父が「あの、孫生まれたよ」と電話した時も、「ちょっと待って今レンズ入れてる」と返したらしい。孫よりコンタクトレンズのが大事なんだとさ。クズとしか言い様がない。

 その返事に何も言わない父も父だし、クズがつけた名前に「あら素敵」なんて言う母も母だ。

 普通、孫の名前に「嘆く」なんて字を入れるだろうか。入れないよね。

 こんな生まれ方をした自分であるから、もちろんまともな性格には育たなかった。

 けれど努力はした。

 人に優しくするよう努めたし、挨拶も日頃から心がけた。

 だが人からはそんなに好かれなかった。

 運動神経も良くない。

 テストの点数だけはいいけど。

 ああ、このままいけば、自分もスイスイ言っている馬鹿供のように、馬鹿になってしまうのでしょうか。

 しかし、そんな自分にある時、転機が訪れる。

 あれは中学生の頃… あ、これで今回おしまい。次回に続く。

 続きが気になるなら⭐️つけろや。

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