第13話 鏡の中は過去。真っ白なノートは未来
おはようってとこかな。気が付いたかい?
ちなみにまだ夜更けなんだ。気分はどうだい?
どうしたんだって?
僕のあまりにも秀逸で美味しいお酒が、君のハートを撃ち抜いてしまったのかな。
許容度を超えてしまったらしくてね。
僕の才能が先を走り過ぎてしまったようだ。
水を飲んで落ち着いてほしい。
そうなんだ、どうしても聞きたくてね。
何をって?
マズいな、記憶も飛ばしてしまったかな。
君が冒険に出たダンジョンで示された課題のことさ。
『過去の自分』と『未来の自分』と対峙したっていう話さ。
回りからもしつこく言われて参っててね。
「マスター、あいつの話聞いたか?」とか、
「アイツ、イケメンになってないか?」とかね。
君は過去も未来も乗り越えて、『今』、ここにいるんだってね。
今までの冒険者からも聞いていてね。
ずいぶん過酷な試練だと噂されているよ。
過去の醜い自分と対峙するのは、容易じゃない。
誰だって逃げ出したくなるよ。
逃げてくるほうが大半さ。
自分で鏡を見るより簡単だった?
それは、見るに耐えないってこと?
コメントしづらいけど、凄いと思うよ。
未来の自分は、見えたのかい?
意中の女性と一緒になれた姿を見たのかい?
ほうほう、なるほど。
その女性と堕落していく様子を見せつけられたんだね。
そうはならないだろ。
現に今、こうして立派になって帰ってきたじゃないか。
簡単なことじゃないよ。
得難いことをした君が、顔を下げて歩く必要はどこにも無い。
文句言う奴がいたら、教えてほしい。
さっき作った特注カクテルをお見舞いしてやるからさ。
さっき、お見舞いされたのかって?
いや、あそこまで強烈とは思わなかったんだ。
申し訳なかった。
ダンジョンをクリアして、次に目指したのはいよいよ冬の峠越えか。
お決まりストーリーの冬山越えだね。
火の魔法が使えるのに、一向に薪に火が着かないとか、
水の魔法使ったら、指先が凍傷になりかけたとか、
風の魔法を使ったと思い込んでいたら、ただ偶然タイミングが合っただけの吹雪とか、
結局、吹雪に埋まった話とか聞けたりするのかな?楽しみだね。早く聞きたいよ。
え?
全部、しゃべっちゃった? 僕が?
一人が好きな恥ずかしがり屋で寂しがり屋の冒険者 喜友 方山 @tom_y
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。一人が好きな恥ずかしがり屋で寂しがり屋の冒険者の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます