静かに交わされた、最期の祈り

 “死”というものが、これほどまでに繊細で、そして温かさを孕むものだと……どこか胸の奥が静かに揺れました。

 「生贄聖女と死神の最期の7日間」は、儀式と運命に彩られた物語でありながら、その芯には人と人との触れあい、そして“生きようとする心”が柔らかく灯っています。

 最期の七日間を共に過ごす聖女エマと“死神”ルーク。
 二人の会話は淡々としていて、どこか距離がありながらも、確かに“通じていく”感覚がありました。
 言葉の奥にある、言葉にならなかった想い。
 それに気づいていく過程が、まるで薄明かりの中で目が慣れていくような、そんな読書体験でした。

 エマの明るさに秘められた強さは、けして自己犠牲だけではなく、“誰かを守りたい”という素直な愛情だったのですね。
 ルークの冷たく見えた無表情の奥に、確かにある痛みと記憶もまた……とても印象に残っています。

 儀式の場面、静かな庭園、家族との別れ――どの情景もまるで白い霧の中に咲く一輪の花のように、凛としていて儚いものでした。

 これは、“死に向かう物語”ではなく、“死に向かいながらも、確かに生きた証を紡いでいく物語”なのだと思います。
 お二人の残された七日間が、どんな軌跡を描くのか……
 これからの展開を、そっと静かに、でも確かに心を込めて見届けていきたいです。

 拙い感想ではありますが……このご縁に、心からの感謝を込めて。
 また、続きをそっと読みにまいりますね。(\*´-\`)🌸

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