美しい大自然の中で創られ育まれる強い絆の物語

 ─── 連なる霊峰から湧き出る雲が、
雲海を創造する。
 神はその遥か天上から燃える太陽の
輝きを浴びせかけ、雲海を
光の絨毯に変貌させた ───

 そこは天空の鉱山都市『バーベリア』

美しく息を呑む様な世界が目の前にある。
嘗ては鉱山で栄えたが、今はもう既に
忘れ去られた様に。時はゆっくりと、
しかし光に満ちて流れて行く。
 そんな天嶮の町に住む、父、母、娘で
構成される サンダース一家 に
一人の傷ついた若者が助けられた事から
物語は始まる。

 先ずはこの霊峰を望む地の美しさ。
異世界でありながらも、地球のどこかに
存在するのではないかとの希望を抱かせる
雄大で峻険な山々、緑の草原、深い森と
渓谷。色とりどりの花々が咲き乱れ
見た事もない鳥や動物たちが各々の生を
繰り広げて行く。

そしてこの作品の最大のテーマであり又
タイトルにも示される 家族 の在り方。

 家族とは決して血縁だけで構成される
ものではない。逆に言えば、家族とは
寛恕と責任と愛着を以て 創る ものだ。
 天涯孤独の主人公は、サンダース一家に
温かく迎え入れられて自らの 在り方 を
そして 役割 を識る。
 自ずから生じた役割は、自らを鍛錬し、
家族の中での 責任 を意識して行く。

生命を賭けてでも守りたいと思える存在。
それは人も鳥獣も同じだろう。

第一章までを『MFブックス異世界小説
コンテスト』に投稿して、初参戦にも
関わらず最終選考にまで進んだ作品。
然にあらん、

 感動なくしては決して読めない。

第二章が始まった今、サンダース一家の
更なる冒険と絆の美しい物語は、まだまだ
これからなのだ。

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