ハンス、がっかりする
「レ、レベル12って、ウソだろ? さっきのリザードマン少なくとも28レベルはあったぞ?」
おいおい、レベル1の奴が打ち取れば一気に20レベルに上がるものじゃないのか?
「いいおじさん? レベルが1上がるごとに必要な経験値は多く、上がり具合は緩やかになるんだから。 気長によ? 気長に」
「ってことはこの面倒な工程を後数回繰り返すってことか、マジかよぉ」
「文句言わないっ。 私の方がもっと面倒な思いしてんだからね?
最上級魔法、フレイムディザイアを習得するのがどれだけ大変だったか」
まぁそうだよなぁ、本来なら鍛冶職人の道もあったのにわざわざ俺のために冒険者になったわけだもんな。
張本人の俺が文句言ってちゃいけないわな。
よし、それならその面倒なことはさっさと終わらそう。
「フレイム、ディザイアっ。 おじさん早くっ」
「任せろっ」
それから俺はリリアちゃんの手を借りて十数回、どうにかレベル25まで到達できた。
もう地上まで残り4階か、意外にもあっという間だったな。
後は地上目指して登るだけ、人生の半分いただけにちょっと寂しさもある……そんな風に後ろ髪引かれる様に階段を上ってる時、それは聞こえてきた。
「どうなってんだよ、なんで出れねえんだよっ」
「ウソだろ、もう地上はこの階段の先だってのに」
上の冒険者たちのうろたえ様、ただ事じゃなさそうだな。
なにが起こってるのかとひたすら歩き、最初の階段を上った先にあった情景に俺達はただ戸惑うしかなかった。
「ウソ、階段が塞がれてる?」
「リリアちゃん、こういうことはよくあるのか?」
「そんなわけないっ。 地上への出入り口は常に開けられることになってる。 なのにこれはいったい……」
ウソだろ?ようやく元の日常に戻れると思ったのにこれ詰んでね?
どーすんだよおぉーーっ。
訳ありダンジョン商人地上への帰還奮闘記 モッフン @shtalk
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