ハンス・レベルが上がる
「なぁリリアちゃん、いったい、いったい俺の身になにが起きてるんだぁーっ?」
魔物を一匹倒しただけだというのにこれが、レベルアップというものなのか。
身体だけでなく手に持つ剣も軽い気が……感覚まで鋭くなったぞ。
今なら、さらなる下層にも潜り込めそうな気がするっ、よぉーしっ。
「地上に帰るなんて勿体ない、更なるお宝を求め、進めー……」
「止まれバカおじっ」
「グベぼっ」
意気揚々と進もうとするも、リリアちゃんにメイスで頭を派手に殴られた。
痛つつ……暴力反対、こんなことする娘があの可憐なリリアちゃんだったのだろうか。
「ここは29層、ここの魔物はレベル41よっ。 31階辺りから急激に手強くなるんだから調子に乗らないのっ」
「そうは言ってもさ、俺だって今のでかなり強くなっただろ?」
「もう……現実を見せてあげるわ」
んーと、これは……ゴーレム? リリアちゃんいったいなにを……。
「コイツに剣で思い切り斬りかかってみてっ」
なるほど、俺の力を測ることができるというわけか、面白いっ
俺は眼前のゴーレムに対してすれ違うように抜剣しながら剣を振った。
手応えは……大アリだっ。
「見ろリリアちゃん、俺の実力もまんざらじゃ……ぬわあぁぁぁっ。 俺の剣があぁぁぁっ」
折れた、折れちまった。 あんだけ強くなった実感がしたのになんでだ?
まさか、この剣が劣化してたとかか?
カッコ悪いを絵に描いたような状況に呆れながらリリアちゃんはメイスでゴーレムを砂塵に戻す。
「これが現実、いいおじさん。 いくらレベル差が大きくたって一気に強くなるなんてありえないんだからね?」
マジか……古の伝承ては自身より強いものを倒すと飛躍的に強くなると載っていたのに。
「くそぉ、一気にレベル上がると思ったんだけどなぁ」
「レベルはちゃんと上がってるよ? 格上の相手を倒したんだから」
なぁんだちゃんと強くなれてるんじゃないか、よかったよかった。
リリアちゃんの言葉に俺の落ちた気分は再び上昇し、文字通り浮足立ちながら聞いてみた。
「ちなみに、なんレベルまで上がった?」
「……12レベルよ」
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