第1部の完とあとがき
とりあえず第1部まで書いてみました!
元は以下の短編を公開せず軽く書いてみて長編まで伸ばしたのですが、一応ここに置いておきますのでおまけ程度に楽しんでください。
◆
「貴様のスキル、『スライムつやつや』など、我が勇者パーティーの威信を汚すだけだ!出て行け、この給仕係以下の役立たずめ!」
勇者バーンナックル・ゴリマッチョ(自称)は、パーティー唯一の癒やし(物理的にスライムを撫で回すだけ)担当だったケンジを、鼻息荒く追放した。
ケンジの仕事は、戦闘で微妙に汚れたスライムをピカピカに磨き上げ、心なしかプルプル元気にさせること。それだけ。マジでそれだけだった。
と、パーティーメンバーは思っていた。
「スライムが綺麗になったところで、魔王は倒せんのだ!わかるか、この唐揚げにレモンを絞るがごとき無神経漢め!」
ちなみに、ケンジはレモンを絞ったことはない。
こうしてケンジは、金貨3枚と「もう二度とスライム以外と会話するな」という無茶な命令と共に、スライムしかいないと噂の「ヌメヌメ大湿原」のほとりに蹴り出された。
「いや、会話はするでしょ普通…」
ケンジはため息をつきつつも、内心ほくそ笑んでいた。彼のスキル【スライムつやつや】は、ただの美容スキルではなかった。正式名称は【スライム・ポテンシャル・マキシマイザー(別名:ぷるぷる大進化)】。
それはスライムを愛情込めて「グルーミング」することで、そのスライムが秘める未知なる可能性を120%引き出し、とんでもない特殊個体に進化させてしまう、地味ながらも超絶チートなスキルだったのだ!
「さて、と。まずは『メタル化湿原スライム』でも作って、ヌメヌメ地帯の地盤改良からかな!」
ケンジはヌメヌメ大湿原で「ケンジ☆スライムパラダイス~あなたの知らないスライムの可能性、お見せします~」を開業。 彼の手にかかれば、ただのブルーゲルは解毒万能薬を無限に生成する「薬用スライム・ブルークロス」に!
レッドゼリーは灼熱火球を放つ「爆炎スライム・マグマッスル」に! グリーンブヨブヨは超高速移動と隠密能力を持つ「疾風スライム・グリーンベレー」に大変身!
その噂は瞬く間に広がり、ケンジのスライム園(兼研究所兼要塞)には、スライムの新たな可能性を求める人々が押し寄せた。農夫は作物を育てる「豊穣スライム」を、商人は荷物を運ぶ「運搬スライム・キャリーゴーゴー」を、果ては国王までもが城の防衛用にと「城壁スライム・ウォールマリア(仮)」を求めて頭を下げに来る始末。
ケンジは、スライムたちに囲まれ、毎日楽しくグルーミング三昧で大儲け。ついでに地域貢献も果たし、聖人扱いされていた。
一方その頃、勇者バーンナックル・ゴリマッチョ一行。
ケンジ追放後、なぜかパーティーの調子が急降下。
「あれ?回復薬の効きが悪くないか?前はもっとこう…プルンと効いたような…」
これはケンジがこっそり回復薬スライムをパーティーのスライムに混ぜていた。
「道に迷った!誰だこの地図を描いたやつは!…って俺か。スライムに道案内させてたの忘れてた!」
ケンジが斥候スライムを放っていた。
「敵の奇襲だと!?なぜスライムが教えてくれなかったんだ!」
ケンジが番犬スライムを配置していた。
そう、彼らの冒険は、ケンジの「見えないスライムファインプレー」によって支えられていたのだ。それに気づかないゴリマッチョ勇者は、部下のせいにして責任転嫁する毎日。
ついに彼らは、魔王軍の幹部「毒ガス公爵ブフォゲラー」の毒沼ダンジョン攻略に行き詰まる。どんな解毒薬も効かず、パーティーは毒ガスでゲホゲホ、肌はカサカサ、勇者の自慢の筋肉も心なしかしぼんでいた。
「こ、こうなれば…あの『スライム聖人』とやらに頼むしか…!だが誰が行く!?俺は勇者だぞ!」
結局、くじ引きで負けた魔法使い(一番ケンジを馬鹿にしていた)が、半泣きでケンジの元へ。
ケンジ☆スライムパラダイスの豪華な応接室(スライムクッション完備)で、魔法使いは土下座した。
「ケ、ケンジ殿!どうか我々を…あの、ブフォゲラーの毒を中和できるスライムを…!」
ケンジは、肩に乗せた虹色に輝く「キング・オブ・エンペラースライム・ケンジスペシャルバージョンMK-II」(今ケンジが考えた)を撫でながら、にっこり。
「おや、これはこれは魔法使いさん。ずいぶんとお肌が荒れていらっしゃいますね?スライム由来の特製保湿クリーム(非売品)でもお試しになりますか?…ああ、勇者様ご一行でしたか。ええと、毒中和スライムですね?スタンダードタイプ、デラックスタイプ、それとも勇者様御用達『あの頃はごめんね!土下座オプション付き』フルカスタムコース、どちらにいたしましょう?」
魔法使いは顔面蒼白。その後ろでは、新人の受付スライム(教育済)が「勇者様一行専用・割増料金表」をペラペラめくっていた。
結局、バーンナックル・ゴリマッチョ勇者一行は、全財産をはたき、さらにケンジが面白半分で考えた「スライムへの感謝三箇条」を大声で叫びながら湿原を三周するという屈辱的な対価を支払い、ようやく豆粒ほどの「プチ解毒スライム(試供品)」を貸してもらうことができた。
そのスライムが本当に役に立ったのか、そして彼らが毒ガス公爵を倒せたのかは、また別のお話。
ケンジは今日も、愛するスライムたちと、ちょっと世界征服できちゃいそうな勢いで、平和に暮らしているのだった。ぷるぷる。
◆
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追放されたスライム専門美容師、追放先でうっかり世界を掌握しかける 椎名シナ @kamisou999
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