神様のスポンサー
ちびまるフォイ
地獄の沙汰も金しだい
社長のもとに神様がやってきた。
「私は神です。ですがまだ信者が少なく、
お金もないので布教活動もできません」
「はあ。それがなんで社長の私のもとへ?」
「あなたに神様のスポンサーになってもらいたい!」
「うちクレジットカード会社ですよ」
「だからこそです!!」
多少なりとも話題になれば、と社長は自称・神のスポンサーとなった。
スポンサーとなったからには神様にお金を提供し、
その見返りとして神様から会社の宣伝を依頼することができる。
わずかばかりの信者が神様に教えを請いにきたならーー。
「ああ、神様。この迷える豚野郎に道を教えて下さい」
「神託をさずけましょう。あなたはこのままでよい」
「本当ですか!?」
「はい。これが神の意志として強く生きなさい。
なお、このお告げは"AA社"の提供でお伝えしました」
「……神様? そのAA社というのは?」
「スポンサーです。これを付け加えないとダメなんです」
「はあ」
軍資金を得た神様はそれで私腹を肥やすこと無く、
神様は愚直に布教活動を続けていった。
その成果は自分がスポンサーであることを
もうすっかり忘れている社長の耳にも届くほどだった。
「しゃ、社長!」
「なんだね秘書くん」
「うちの会社の業績が右肩どころか左肩あがりです!」
「なにかぶっとんだことでもやったのか?」
「それが何もやってないんです。なのにこんな急上昇していて……」
「あ」
「社長、なにか心当たりが?」
「神様にスポンサーになったわ。それかも」
「なんていう神様ですか?」
「
「いま若年層に激アツの神様じゃないですか!
オリコン・Godチャートでも上位の神様ですよ!!」
「そんなに人気になっていたとは……!」
「さすが社長。まだ人気になる前に契約を結ぶなんて。
先見の明にあふれていますね」
「いいや、まだこれからだ」
「といいますと?」
「神様が人気になったのはいいことだ。
だが特に口を出さずにこれだけの業績を叩き出した。
ということは、もっと神にスポンサーをプッシュしてもらえば……」
「お金が入りまくって地球買えちゃうかもしれませんね!!」
「もちろん買うときは、うちのクレカでな」
「「 ギャハハハハ 」」
クソほどしょうもない与太話を終えると社長は本腰をあげた。
これまでノータッチだった神様の活動にいろいろと注文をつけた。
これにより神様の活動内容もよりガメつく変化する。
信者たちは神様の神社にやってくると、専用レーンができていた。
「はい、AA社のクレジットカード会員はファストレーン。
一般の方はこちらの通常レーンからお賽銭してください」
「ええ……? この行列に並ぶの……?
前はこんなんじゃなかったのに」
「スポンサーのご意向です」
スタッフに信者に無情な言葉をなげかけた。
吹きっさらしで、雨すらしのげない通常レーンに対し
レッドカーペットが引かれた専用レーン。
信者はやむなく年会費を払ってクレジットカードに契約。
「まあ、待ち時間を節約するための出費だと思えば……。
ああ神様。早く私の願いを……」
御本殿にたどり着くと、札が3枚渡された。
「あの、これは?」
「ご祈願チケットです。木札が通常。
シルバー札が少し長めにご祈願できます。
ゴールド札がもっと長くご祈願できますよ」
「ガメつすぎません?」
「スポンサーのご意向です」
「取り付く島もない……」
せっかくはるばる電車でやってきた信者は
ゴールド札を購入して長めのご祈願時間を確保。
ついに神様の
ちょうど神様はスクリーン1枚をへだてた向こう側にいた。
「神様! どうか私の願いを聞いて下さい!」
「あ、そのまえにいったんCMです」
「CM!?」
スクリーンにスポンサーのCMが流れる。
『神のようなカード。AAカード』
CMが終わるとスクリーンが持ち上がり、やっとご祈願タイム。
悩める信者は身銭を斬りまくってご祈願を果たした。
こんな調子なので社長の会社はますます業績が指数関数的にあがった。
「ぬわっはっは!!! 作戦大成功だ!!
まったく、信徒ってのはチョロいなぁ。
神様ブランドなら脳死で何でも課金しやがる!」
ごきげんな社長のもとに神様がやってきた。
今や八百万の神の学級委員を務められるほど名を馳せた神様だった。
「えっと、名前なんだっけ、アブラゼミのミコトだっけ?」
「
「じかだんぱん? なんで?
うちは儲かって、そっちは信者増加で誰も迷惑していないだろう」
「ええそうです。ですがこの体制に私は不服です」
「不服?」
「あなたの言う通り、私は多くのものを変えました。
結果としてお金がなく本当に困っている信者は助けられない。
これは神様のありかたとして間違っている」
「ふうん、なんとなく話が見えてきたぞ。
もしかしてスポンサー契約を辞めたいという話だな?」
「そうです」
「勝手いうんじゃねぇ。金がないときはすり寄って、
金がなくなればお払い箱にしようなんてズルいぞ!」
「ではこうするしかないようですね」
「なんだ? 裁判でもするのか?
いっておくが、お前なんかよりもずっと金がある。
つよつよ弁護士を雇ってお前なんか破産させてやる」
「まだ人間の領分で考えているようですね。
お忘れですか。私は神なんですよ」
「へ?」
「神のいかずち!!」
神の怒りが天に届くと、避雷針を避けて落雷が社長に直撃。
あっという間に社長は黒焦げになってしまった。
神を怒らせると本当に怖い。
「う……うう……」
社長は暗い場所で目が覚めた。
「ここはどこだ? たしか雷に打たれて……」
周りを見渡すと、そこにはどこかで見た景色。
おどろおどろしく悲鳴がこだまする。
「まさか……地獄……俺は死んだのか!?」
ふりかえると大鬼が立っていた。
「そうだ。金にがめつい貴様は現世で死に、そして地獄へ運ばれた」
「そんな。人生これからだってときに……」
「ここで貴様は苦痛を味わい、現世での罪を精算するのだ。はいこれ」
「……スマホ?」
社長に渡されたのは地獄スマートフォン。
電源をつけてもアプリはひとつしかない。
「なんでスマホなんだ?」
「いいからスマホのアプリを立ち上げろ」
社長がアプリを押すと、InfernoGramでは多くの写真や動画がアップされていた。
そのすべては天国の人たちが投稿したキラキラ日常。
地獄の自分たちがこの惨状を投稿することはできない。
「なんだよこれ! いまいましい!
天国のいい生活を指くわえて憧れろっていうのか!」
「そうだ。それがここでの地獄刑務活動だ」
「こんなのおかしい! 針山地獄や釜茹で地獄とかはないのか!?」
すると鬼は地獄の入口にあるロゴを指さした。
「最近、地獄のスポンサーが変わったのだ」
地獄の入口には Powered by Hell Communications と書かれていた。
神様のスポンサー ちびまるフォイ @firestorage
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