物語は、一人の研究員が人工の身体に意識を移し、とある高校を舞台に進行するシミュレーションテストに挑むところから始まります。その目的は、人のふりをして紛れ込んだAIを見つけ出すこと。
日常の隙間に感じられる違和感。誰がAIなのか分からないという緊迫感が、静かに物語の底を流れていきます。
しかし、すべては突然覆されます。予想もつかぬ急展開によって、物語はまったく異なる顔を見せはじめるのです。
AIとは何者か。テストの真の目的とは。そして、なぜ人はAIを創り出したのか。
緻密に練られた世界設定の巧みさに、ただただ唸らされました。
ぜひ読んで、その完成度の高さを肌で感じてほしいと思います。
面白かったです。
『パーフェクトテスト』は、AIと人間の境界を問う青春SF小説です✨。
桃瀬歩はAI研究所に勤める25歳の女性👩💻。ある日、彼女は上司から「高校生としてチューリングテストに参加してもらう」と告げられます😲💡。
しかし、歩は高校生ではなく、人工ボディに入れられ、AIが紛れ込む高校で生活することに…🏫🤖。彼女は、果たしてAIを見分けることができるのか? そして、ブラックなAI研究所に抗うことができるのか⁉️
この作品は、単なるSFではなく、「人間らしさとは何か?」という哲学的な問いを投げかける、知的でスリリングな青春SFです📚✨。
AI が人間の中に紛れ込めるのかテストする際に青少年が通う高校を舞台にする、そのことは大人が青少年を実験動物扱いしていることを意味します。きわどい用語を使いましたが、否めないことなのです。
そこに本作の狙いがあります。青少年が楽しく日常を過ごす様子が述べられれば平和な小説だと言い切れません。何のためにテストを実施するのか? そのテストに青少年を巻き込む理由は?
ただし巻き込まれた青少年も人であり意思があります。大人が青少年を巻き込んだことで青少年の間に波紋が広がります。
傲慢なのに怯懦な大人がテストを設定した結果、青い少年が勇気を持って立ち向かうことになります。
そして AI が加わって三者関係となります。
AI は、傲慢で怯懦な大人をどう見るか。
AI は、青くて勇気ある少年をどう見るか。
本作はシミュレーションつまり思考実験であり現実がそのように進む確約はありません。事実ではなく一つの意見です。
この意見に対して納得する読者が多いと評者は想像します。
本作が示す結果には人として納得できます。