作中の悪役になるエレノアの母アメジストに転生した主人公のお話ですが、面白いのはエレノアが「悪役にならざるをえなかった」道筋です。ただ高慢だったから、じゃない。きちんとそうなってしまったバックボーンがあります。だからこそ、悪役になってしまうエレノアの運命を回避して欲しいと願わずにはいられない。
原作では体が弱く短命だったアメジストですが、果たして本当に病弱だったのか? と謎めいた部分もあります。まるで黒幕が水面下で静かに動いているような恐ろしさも感じられます。
娘とともに公爵家の離れに隔離されて外界との繋がりも絶たれているアメジスト達ですが、主人公の冷静さを活かして現状を打開していく様は爽快です。
登場人物達の思惑と利害が絡み合う複雑な人間関係は、考察せずにはいられない面白さがあります。
ぜひご一読ください( *´艸`)
登場人物たちの個性がどんどん色濃くなっていくのが楽しい!
特に中盤の義母とのシーン――個人的には、そこがお勧めです。
家族って一言じゃ割り切れないからこそのもどかしさや、状況の地獄感や温度感がリアルで、つい感情移入しちゃいました。
文章力もやっぱり光ってます。繊細な心の動きや場面転換がとてもスムーズで、難しい設定や背景説明もストレスなく読ませてくれるのは見事!
キャラの表情やしぐさ、セリフの「間」も絶妙、まるで登場人物たちが目の前で生きてるみたいに感じますねー!
ほっこり温かいのに、しっかり胸に刺さる場面もあり、ついページをめくる手が止まりません。転生もの・悪役令嬢好きはもちろん、「家族」の描写にちょっとでも興味ある方はぜひ!