異国の港町に降り立った少年と謎多き青年。
この物語の出航までは、彼らの出会いと成長、そして心を通わせるまでの繊細な軌跡を描いています。
ユリウスが見せる純粋さと優しさは、読者の胸を打ちます。そして、それに揺らぎながらも、己の役割を果たそうとするエーレの姿には、静かな孤高と、どこかに滲む人間味が感じられます。
強大な嵐と魔物に立ち向かう戦い、失われかけた命を救おうとする思い、そして別れの朝に交わされる温かな約束――
ファンタジーの中に息づく、やさしくて確かな人の想いが、読後にじんわりと残ります。
登場人物一人ひとりが丁寧に描かれており、まるで本当にどこかに存在しているかのよう。
これから始まる長い旅路の先に、どんな物語が待つのか――引き続き見守っていきたいと思います。