第15話
アキトは手に感じる鋭い感覚に驚きながらも、その剣が自分の手に馴染んでいく感覚を深く感じ取った。まるで長い時間を共にしてきたような、不思議な親近感と懐かしさが、手のひらを通してじんわりと伝わってくる。しかし、その感覚に反して、心の奥底に少しの違和感が残った。
「やっぱり、この剣は…過去の自分の何か、かもしれないな」アキトはふと呟いた。記憶の中で断片的に過去の自分が何かをしていたような、そんな気がした。しかし、肝心な部分は曖昧で、何も思い出せない。
その瞬間、蓮刃剣がアキトに問いかけてきた。
「
その言葉にアキトは一瞬耳を疑った。何のことか全くわからない。胸の中で不安と疑問が交錯するが、答えることはできなかった。
「え、なんだそれ?機神、アポカリプス?そんなの……俺、聞いたこともない!」アキトは思わず叫んでしまう。
蓮刃剣からの声が静かに響いた。「お前が選ぶべき道の一つだ。だが、もしお前がそれを呼びたくないならば、また違う選択肢がある。」
アキトはさらに混乱し、心の中でどうするべきかを必死に考えた。機神?アポカリプス?何も思い当たることがない。だが、無意識に背筋を伸ばし、心の中で決意を固める。
「選択肢って、どういうことだ?俺には、今はまだ何もわからないけど…これだけは言える。俺は今、自分の道を進むために戦ってるんだ。それだけは絶対に変わらない。」
蓮刃剣の声は少し静まり返り、そしてゆっくりと告げた。「…なるほど。お前の決意を受け入れよう。それならば、何も強制することはない。しかし、選ぶべき時が来れば、お前は自分の道を選び取ることになるだろう。」
その後、何も言わずに静寂が訪れた。
アキトは深く息を吸い込み、目の前の魔核と剣を見つめながら思った。自分の過去や、これからの未来について、まだ何も分かっていない。しかし、今の自分が選ぶべきことを見つけるためには、まず目の前の謎を解かなければならない。
「よし、行こう。俺の手にある力を、どう使うかは自分で決める。」
ユウキとシロもアキトの背後から見守っている。彼らもまた、何かを感じ取っている様子だ。
「行くぞ!」アキトは決意を込めて一歩踏み出すと、剣をしっかりと握りしめ、前進する。
その先に何が待ち受けているのかは分からないが、今のアキトにはただ一つ、進むべき道があるように感じた。それがどんな未来を呼び込むことになろうとも、彼はその手で切り開いていく決意を持っていた。
その瞬間、ユウキが声を上げた。「デュランダル、これるか?」
すぐに返事が返ってきた。「おう!いますぐ!」
アキトはその言葉を聞いて、瞬時に何かが変わるのを感じた。目の前の空間が揺らめき、風のような気配が周囲を包み込んだ。
そして、次の瞬間、赤い髪の男が現れた。彼はまるで時間を操るかのように、ユウキのすぐそばに現れると、軽く頭を下げた。
「ユウキ、呼び出された理由は?」と、その男は静かに問いかけた。
アキトはその姿を見て驚き、思わず一歩後ろに下がった。赤い髪の男は、どこか異常に冷静で、鋭い目を持ち、何か重圧を感じさせるようなオーラを放っている。その雰囲気に、アキトは思わず圧倒されそうになった。
「デュランダル、紹介しよう。」ユウキは軽く笑いながら言った。「アキトだ。これから一緒に行動することになるかもしれない。」
赤い髪の男—デュランダルはアキトに視線を向けると、無表情で言った。「アキトか…。君が破壊王と言われる存在か。」
アキトは驚き、すぐに反応した。「破壊王なんて…そんなのは噂だ!俺はただの冒険者だ!」
デュランダルは一瞬無言になった後、軽く頷いた。「そうか。だが、君の力には興味がある。ユウキからも聞いている。どれほどのものか、見てみるのも面白い。」
アキトは思わず口を閉じた。彼の言葉には、何か挑戦的な響きがあった。デュランダルが言う「見てみる」という言葉には、何か深い意味があるように感じた。
ユウキがその空気を和らげるように言った。「デュランダルは、まあ少し直情的なところがあるけど、基本的には頼りになる仲間だ。気にするな。」
アキトはその言葉に少し安心したものの、やはりデュランダルの存在感には圧倒される思いがあった。
「ところで、アキト。」デュランダルが静かに言った。「君が手にしているその剣、蓮刃剣だな?あれはただの武器ではない。何か特別な力を秘めているようだ。君がその力をどう使うか、見てみたいものだ。」
アキトは剣を握り直しながら答える。「その力がどういったものかはまだ分からない。でも、今はこの力をどう使うか、それを見つけていきたいんだ。」
デュランダルは冷静に頷くと、再びユウキに目を向けた。「どうする、ユウキ?この後は。」
ユウキは少し考えてから言った。「まずはアキトに、この場所のことをもう少し教えてやろう。それからだ。君も言っていた通り、アキトにはその力を使いこなす方法を学ばせる必要がある。」
デュランダルは軽く笑い、口を開いた。「分かった。その話の後に、少し実戦でもしてみるか?」
アキトはその言葉に驚きつつも、少し興味を抱いた。実戦? そんなことで自分の力を試すことになるのだろうか。だが、ユウキとデュランダルがどれほど強いのかもまだ分からない。実際に戦ってみることは、何かを学ぶ手助けになるかもしれない。
「それで…その前に、いったいここで何をしなければならないんだ?」アキトは少し考えながら尋ねた。
ユウキはその質問に即座に答えた。「まずは、君が今後どうしていくかを決めるための準備だ。君が持っている力をどう使うか、それに必要なことを教える。」
そしてユウキはデュランダルを見て、にっこりと笑った。「そして、君にも少しだけ手伝ってもらおうか。」
デュランダルはそれに答えるように、しっかりとした声で言った。「分かった。君の指示通りに動く。」
アキトは二人の会話を聞きながら、少しだけ心を決めた。これから何が待っているのかは分からないが、少なくとも今、目の前にいる二人と共に行動することで、何かを掴むことができるだろう。
ユウキがデュランダルに向かって軽く指示を出した。「デュランダル、剣になれ。」
「おう!」とデュランダルは即座に答え、全身が瞬時に光に包まれ、次の瞬間には見事な剣へと変貌していた。その姿は一瞬で見る者に威圧感を与えるような美しい形状となり、まるでそれ自体が生き物のような気配を放っていた。
アキトはその光景に驚きながらも、ユウキが続けて言った言葉に耳を傾けた。
「デュランダルは聖剣でもあり、魔剣でもある。聖剣としては純粋な力を持ち、魔剣としては破壊的な力を宿している。どちらの側面もその時々の使い手に合わせて力を解放するんだ。」
アキトはその言葉をじっくりと噛みしめる。デュランダルがただの剣ではなく、そうした両面を持っている存在だということに、さらに深い謎を感じずにはいられなかった。
そして、ユウキは続けて言った。「さあ、次はこれだ。アキト、少しだけ注意を払っておいてくれ。」
アキトはその言葉に頷き、ユウキの方を見る。ユウキは静かに目を閉じ、呼吸を整え、集中するかのように見えた。アキトはその様子を見守りながら、どんな力が発動するのか、心の中で緊張感を高めていった。
そして、ユウキが静かに声を発した。
「こい!
その呼び声に呼応するかのように、周囲の空気が震え、地面が少し揺れた。アキトはその瞬間、胸の中で何かが高鳴るのを感じた。次の瞬間、視界が一気に広がり、巨大な影が現れた。
全長15メートル、まるで山のようにそびえ立つ機械の巨人が、ユウキの呼び声に従って出現したのだ。その巨人は金属の輝きを放ち、鋭い機械的な目が周囲をじっと見据えていた。全身が精緻に作り込まれ、まるで一つの巨大な兵器が目の前に現れたかのような威圧感を放っていた。
アキトはその光景に圧倒され、しばらく言葉を失っていた。
「これが…
ユウキは穏やかな表情で言った。「そうだ。この機神、ルキフェルスは、戦場においては無敵ともいえる力を誇る存在だ。だが、動かすには強い精神力と意思が必要だ。私のように呼び出す者の意思に従って動く。ちなみに、ルキフェルスはお前が思っているよりも、ずっと強力だ。アキト、お前が何かをする時には、この機神を頼ることができる。」
アキトは言葉を飲み込み、見上げるようにしてその機神の姿を見つめた。全身が鉄でできたその巨人は、まさに人類の想像を超えた力を持っているかのように見えた。そして、何かその力を使いこなすことができるのか、それともどう活かしていくべきか、アキトは改めてその大きな課題を感じた。
「でも、ユウキ…これをどう使えばいいんだ?」アキトは素直な疑問を口にした。
ユウキはしばらく無言で機神の方を見つめ、やがて軽く笑って言った。「それはお前が自分で見つけることだ。最初は力を使うのに戸惑うかもしれないが、お前ならできる。」
アキトは深く頷き、その言葉を胸に刻んだ。どうやら自分の冒険は、思った以上に大きな力を持つ存在と関わることになりそうだ。だが、それにどう立ち向かうのか、自分の力をどう使うのか、それを見つけることこそが今後の成長への鍵となるだろう。
その時、デュランダルが剣の姿から元の姿に戻りながら言った。「機神を使う時には、感覚を研ぎ澄ませてな。使い方を間違えると、無駄に大きな破壊を引き起こしかねん。」
アキトはその言葉にしっかりと頷き、改めて覚悟を決めた。これから先、何が待ち受けているのか分からないが、自分の力を信じ、進んでいく覚悟を固めたのだった。
異世界で、気づいたら世界最強になっていた みなと劉 @minatoryu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界で、気づいたら世界最強になっていたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます