真ん中に誰もいない世界で

すれ違うすべての人に自分と同じだけの事情と感情が詰まっていると思うと、世界の湿度が高まったような気がしてしまう。それだけ誰にとっても生きることは大変で、ままならないのだろう。

誰もが主人公だ、なんてセリフは詭弁だけれども、全員脇役だ、というのも暴論すぎる。
世界の真ん中には誰もいない、すれ違うすべての人間がただ生きているだけだ。

本作を読み終えてそんなことを考えた。