「これ絶対に…」の、汚部屋をきれいにする反則技
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 イラっとするようなきらいな言い方からはじまる、「汚部屋そうじ」の時間。やりすぎは、厳禁で。
たくさんの世界を知りたい彼だが、気にいらない言い方が増えた。
「これ、絶対に美味いやつ」
最近はその言い方が気持ち悪いと、「多様性」を愛する彼は悩む。
芸能人なども、言いがち。
「これ、絶対に美味いやつ」
ツッコミどころ、いっぱい。
「はじめていったあの店で、ピンときた。これ、絶対に美味いやつだとな!」
いや、いや…。
「はじめて見たんだろ?」
「まだ食ってないでしょ」
「美食家?」
「全人類の、味の基準?」
ツッコミどころ、ありすぎな言い方。
部屋をきれいにするために悪用されたら、いやだ。
「…あんたの部屋、汚いわね。これ、捨てるから」
「やめろ、母ちゃん!それ、絶対に必要なやつなんだぞ!」
「…あんたは、神?」
「な、なぜ俺が神と知っている!」
「いいから、早くかたずけなさい!」
「やめろ、母ちゃん!」
「こういうの、ゴミでしょ?」
「ちがう」
「どうせ、使わないでしょ?」
「使う!いつか、絶対に使うやつだから」
「…」
「母ちゃんは、この部屋をかたづけろって言うんだな?」
「そうよ」
「…そうか。母ちゃんは、この部屋の中に隠したピカピカの宝に、気付いてしまったんだな」
「ピカピカの宝?あんたは、部屋から出ていきなさい!見つけてやる!」
追放される、汚部屋の住人。
「…じゃあ、 3日間、家から出てビジネスホテルに泊まるよ。 3日分の金、くれる?」
「親を、甘く見ないことね!ビジネスホテルの宿泊費 3日分を、とっておきな!その間に、あんたの言う宝物を探す!」
「…宿泊費、サンキュ」
汚部屋の住人がいなくなり、母親による宝探しがスタ-ト!
ただし、母親に言ったビジネスホテルには泊まらない。値段をおさえ、ネットカフェや漫画喫茶にGO!
3日後。
「ただいま」
住人が、元汚部屋に帰ってきた。
「ちょっとあんた!ピカピカの宝なんて、ないじゃないの!」
「…え?あるけど」
「一体、どこにあるのよ!」
「ここ」
「どこよ!」
「だから、ここ」
今はピカピカになった部屋の中を指さす、元汚部屋の住人。
「?」
「見ろよ、母ちゃん!この部屋、絶対に宝物だよ。だって、こんなにもピカピカになったんだ。これ、絶対に…」
瞬間、母ちゃんに引っぱたかれました。
あの言葉、良く考えて使いましょう。
「これ絶対に…」の、汚部屋をきれいにする反則技 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935
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