入ってはいけない旧道(お招きの道)

えん@雑記

入ってはいけない旧道(お招きの道)

 H海道Y市にある旧道。

 そこにある『帰らぬの道』その話を聞いたのは編集部で午前4時を回った所、雑誌の納期も終わり軽い打ち上げの時だった。


 シナリオライターとして駆け出しのY君は興味津々で編集長のを聞いていた。


 編集長も若い時はシナリオライターとして苦労しミステリー作家やホラー作家を目指すも芽が出ないまま過ぎた人だ。

 若いY君はその話を真面目に聞くものだから編集長も得意げになる。

 始発が始める事に打ち上げは終了となり編集長も今日の仕事が始まるまで仮眠室へと行く、残るのは私とY君ぐらいで他の人は有給を使ったりで帰って行った。


 Y君が先ほどの話は本当ですか? と聞いて来たのでY君にどんな話だったのかを聞いてみる事にした。Y君は編集長の話聞いてなかったんですか!? と疑ってきたが、毎回ホラ話をするのでいちいち聞いてられない。


 Y君の話によるとY市にある旧道。そこに3人で入ると帰りは2人という話なのだ。

 なるほど、2000年代に流行った怖い話で3人で旧道を通って何もないと車に戻ると4人分の荷物がある。という話だろう。


 残った荷物にある住所をに行っても誰もいなく誰も住んでない。

 近所の人に聞いても空き家だよ? という始末で残った3人は1人を消した事の罪悪感で不幸になって行く。


 俺は創作話だよ。とY君に言うと、難しい顔をしてそうですよね。と言うだけだ。

 あまりにも暗い顔をするのでY君に聞いてみると、どうやら地元に入って行けない旧道があるらしいのだ。


 Y君は来週の出張で実家に帰るはず。気にするな、と軽い気持ちで残った缶ビールを手渡した。


 そんな話も少し忘れた頃Y君が出張から帰って来た。

 酷い暗い顔だ。

 そういえばと、先週話した編集長の怖い話の話題に触れてみた。

 その話はお昼休みに。と一言言われ……俺を怖がらせてるのだろう。と思い仕事につく。

 昼の休憩になり缶コーヒーを片手にY君の席に着くとそのまま屋上に連れられた。

 Y君はぽつりぽつり話してくれる、Y市に帰り実家へといくと地元に残った仲間と旧道に行ったとの事。

 入ったメンバーはY君いれて3人。

 車から出る前、出た後に3人の写真を撮った。Y君から見せれ貰ったスマホにはY君含めて3人の男女が笑っている。

 Y君が次の写真を見てください。そういうので次の写真を少しわくわくしながら見てみた。

 若しかしたら2人になってると思ったからだ。

 次の写真には4の男女が真顔で写っている。


 見る順番間違えたかな? とY君に言うとあってます。と暗い顔だ。

 編集長の話ではないが1


 Y君が言うには車には4人の荷物。

 それぞれ全員が顔見知り。

 Y君の写真にはAさんとBさんが映っているとしよう。

 Aさんの写真にはY君とCさんが映っている。

 Cさんの写真にはAさんとBさんが映ってるとの事。

 車に乗る前に話した内容も、前日の飲み会も全員が3人で話した内容が同じなのだ。


 全員がここに来るのに3人で来た。と、言い張っている。との事だ。

 俺は頭が混乱しながらも、消えるよりはいいんじゃないか? と軽く話すとY君はさらに暗い顔になった。


 頭がおかしくなりそうなり、旧道の事を調べようとすると旧道が『お招きの道』と言われているのがわかった。

 お招きと言えば縁起がいいはずなのに入ってはいけない旧道。

 その事をY君は祖母に聞いてみた、もちろん入った事は内緒にしてた。


 その祖母が言うには昔その先には小さいやしろがあり、戦時中に帰って来ない兵士が帰ってくるように通った道だったとの事。

 祖母はそれしか教えてくれず、絶対に入っては駄目だ。という事だけを強調する。


 昼休みが終わり、俺もY君も仕事に戻るとその日を終えた。

 俺も出張が重なり次に会社に来たのは翌週でY君の席を見ると知らない人が座ってる。

 新人と思って挨拶すると、冗談はよしくて下さい。とすごいなれなれしい。


 俺は少しむっとして仕事を再開し昼出勤の編集長にこっそり聞くと編集長は不思議な顔をする。

 俺の事をしたっているH君だ。というのである。

 そんな事はない、あの席はY君が座っていたはずだ。

 その事を編集長に言うとY君の事は知らない。との事、さらにあの打ち上げにいたのもH君だという。


 俺の話が面白かったのだろう、編集長はもっと聞かせろ。と迫ってきたが、軽い冗談です。とその場をやり過ごす。

 俺はH君に先ほどは悪かったな。とY君が好きだった缶コーヒーを手渡すとH君は先輩の機嫌がよくなってよかったです。と缶コーヒーを開けて飲む。

 あまりにも見ていたのがH君が不思議そうな顔をする。

 Y君との思い出を名前を出さずにH君に聞いてみるとH君がありましたね。と中には俺とY君しかしらないバーでの話までH君は知っていた。


 思わずH君に『お招きの道』って知ってる? と俺の口が滑ってしまう。


 H君は少し無言になった後「知らないですね」と短く言うと顔が一瞬だけ能面のように見えた。

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