氷河期……本当に勘弁してほしいです……。
- ★★★ Excellent!!!
氷河期が到来した近未来の日本。
熱海シェルターにて、かつては北海道大学でタンチョウを研究していた「私」、今では小学生を相手に教師をしている。
が、最後の生徒・西堀ハルヒもついに卒業する。
彼女が卒業してしまうと、無職となる。
生物の研究者を雇い続けるほどの余力は、氷河期に文明を壊された世界には無いようだ。
「私」はハルヒの卒業後、ある行為を果たそうと決めていたのだった……。
氷河期が襲う世界、どことなく漂う絶望的な空気感が素晴らしいと思いました。
もはや本物の太陽が昇ることのない天蓋、かつては熱海駅であったトロッコ駅、配給制のチョコレート……未来を描きつつも、本当に起こり得るような気配、まさにSFです!
また、物語の中でハルヒはある曲を口ずさみながら、軽快なステップを踏んで踊ります。
ダンスを踊ること……近未来SFの本作では、様々な状況下で意味を持って登場しますが、その本質はやはり末尾の「私」の言葉にあると感じました。
素晴らしきSF!
是非ともご一読を!