「人」について改めて考えさせられる、不思議な魅力に溢れた物語。
- ★★★ Excellent!!!
神によってつくられた「彼」は、黒服を着た状態で地上に横たえられていた。
すぐに周囲の世界を知覚し、一つ一つを認識していく。
やがて「行うべきこと」を行うために歩き出し、町へとたどり着いた。
そこで困っている人間を手助けした「彼」は、善い行いを判断するに至り、その後は善行を目的として生きるようになる。
しかし、喋ることも痛みを訴えることもないために、町の人々からは敬遠されるようになり……。
旧約聖書、あるいは神話を読んでいるような不思議な感覚にとらわれました!
ものすごい重厚な世界観でありますが、人々の会話や「彼」の行動は明快に描かれており、とても読みやすいです。
心動かされる結末もお見事でした!
また、この物語には『人は何をもって「人」と言えるのか?』という、深いテーマがあるように感じます。
本作を通して、人間とはなんぞやと悩んでみる……そんな得難い読書体験を是非!