第11話 打撃の前の静寂

コーニ。

独房。石。湿気。

彼女は丸くなって座っていた。まるで自分の影の中に消えようとしているかのようだった。

誰も破ることのない静寂。彼女の思考さえも。

久しぶりに――彼女は自分自身のためではなく、恐れていた。

彼のために。カインのために。

そして突然――記憶がよみがえった。

炎。

子供の叫び声。

「ママ!パパ!」

彼女は煤の中に横たわり、前へ――炎へ――もういない声へと手を伸ばしていた。

目の前には――燃え盛る家。

誰かが彼女を押さえていた。中へ飛び込もうとするのを阻んでいた。

だが、彼女は呼んだ。喉が嗄れ、血が出るまで叫んだ。

誰も応えなかった。

ただ炎がはぜる音だけ。

叫び。すすり泣き。孤独な声――もう誰もいない世界で。

コーニの目に涙が溜まった。

だが、彼女は泣かなかった。

ただ、小さな窓から月を見つめていた。

そして、ほとんど聞こえない声でささやいた:

「生きて。お願い。」

カイン。

彼は別の独房で、三日月を見ていた。

ただ石と、隅で揺らめく松明が一つあるだけだった。

カインは仰向けに横たわり、両腕を広げ、目を閉じた。

記憶。

闇。

鉱山。

手の血。

彼は立っている。息を切らして。目の前には――体。

初めての殺人。

男。同じ奴隷。

偶然に。間違いで。

相手は殴ろうとした――だが、カインの体が勝手に反応した。

打撃。骨の砕ける音。沈黙。

そして――彼は止まることができなかった。

血――粘つく、熱い血。

指に。爪の下に。舌に。

彼はそれを見ていた:

恐怖と共に。

嫌悪と共に。

心臓の鼓動。

カインは目を開けた。

天井を見つめていた。まるでそれを透かして見るように。石を透かし。すべてを透かして。

扉が開いた。

戸口に――オンブレ。

彼は話さなかった。

脅しもしなかった。

ただ、立っていた。

見ていた。

まるで心の奥底まで見通すように。

カインは見返した。

二人の間の沈黙は――今にも割れそうなガラスのようだった。

オンブレは壁に近づいた。

マントの下から普通の剣を取り出した。

それを壁に立てかけた。

振り返った。

そして、一言も言わずに去った。

カインは一人残された。

彼は動かなかった。ただ目が剣に滑っただけだった。

彼は座った。

静かに。まるで埃すら立てることを恐れるように。

近づいた。

目を閉じ、ゆっくりと剣に手を伸ばした。

触れた――慎重に、まるでそれが生きているかのように。

そして――柄を強く握りしめた。

一閃。

鋼が空気を切り裂いた。

松明が――消えた。

闇がすべてを飲み込んだ。

カインは闇の中に立ち、剣を握りしめている。

筋肉という筋肉が、弓の弦のように張り詰めていた。

彼は闇の中で目を開けた。

覚悟はできた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢の死神 @Angrylove

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ