第10話 代官

想像を絶するほど広大な広間だった。

壁は大理石、窓は金で縁取られ、天井は空のように高い。燭台、絵画、彫刻――すべてが輝いていた。空気には香の匂いが漂い、そして、さらに何か奇妙なもの――記憶の残響のような香りが混じっていた。

その壮麗さの中に――彼がいた。

一人の男。

静かに、丹念に、まるで神聖な儀式を執り行うかのように、彼は大理石の階段の両脇にある植木鉢の生花に水をやっていた。

彼は長身で肩幅が広く、堂々としていた。そのコートは長く重く、夜空のような藍色で、金の刺繍が散りばめられていた。バロック様式の模様が縁や袖口、裾を流れ、肩には鎖で繋がれた肩章がシャンデリアの光を受けてきらめいていた。開かれたカフタンの下からは、金の涙滴型のボタンがついた黒いベストと、胸元を開けたカットが見えた。彼の手には髑髏に似た模様のブレスレットが飾られていた。

赤毛は豊かで、後ろになでつけられ、光の中で艶めいていた。彼は古風な旋律を口ずさみ、その一挙手一投足には、どこか許されざる調和があった。

その瞬間、広間の奥で扉が押し開かれた。

仮面をつけた二人の衛兵が、カインとコーニを中に突き入れた。

カインは打ちのめされ、血まみれで、唇が切れていた。彼はまっすぐに立っていたが、筋肉という筋肉が痛んでいた。右目の下には痣ができていた。

コーニは隣を歩いていた。黙っていた。だが、その目はカインに釘付けだった。彼女は口を開くことを自分に許さなかった――ここでは、今ではない。

男は最後の花びらに水をやり終え、じょうろをテーブルに置いた。

振り向いた。

指を完璧な仕草で組んだ。ほとんど穏やかに話した:

「メメントへようこそ。」

「我が名はオシャー。」

「私は偉大なるコフィオンの代官である。」

彼は広間をゆっくりと歩き、彼らを優しく見つめた。まるで彼らが囚人ではなく、豪華な罠にかかった貴重な客であるかのように。

コーニのそばで立ち止まった。身をかがめた。

「震えているな。それは良いことだ。恐怖は最も正直な感情の一つだ。」

彼女は答えなかった。ただ拳を握りしめただけだった。

オシャーは、まだ殴られた跡が残る彼女の頬を指でなぞり、静かに言った:

「見事な一撃だ。オンブレは真の懲罰の芸術家だよ。」

カインが一歩前に出た。

「彼女に触るな。」

オシャーは彼の方を向いた。そして初めて――本気で見た。

「カイン。過去を持たぬ我らが客か。」

彼はほとんど触れるほど近くに寄った。

「悲劇を急ぐのはやめようではないか。」

「今のところは…話をしよう。」

「夕食を共にしながら。」

彼は身振りで彼らをテーブルへと誘った。

カインとコーニは広間の中央にある長いテーブルについていた。周りのすべてが夢のようだった――ワイン、果物、金の食器。湯気を立てる料理。

オシャーはテーブルの主賓席に座っていた。手にはグラス。中には血のように濃いワイン。

「どうぞ」と彼は穏やかに、彼らを見つめながら言った。「これは君たちを祝う宴だ。食べたまえ。」

カインは微動だにしなかった。ただ視線が少し重くなっただけだった。

「食欲がありません」とコーニは静かに言った。

オシャーは微笑んだ。指の中のグラスが円を描いた。

「食欲とは後からついてくるものだ」と彼は言った。「時には…思い出させてやれば、戻ってくるものだよ。」

コーニはびくっと震えた。

一秒。そしてもう一度。体がこわばった。彼女はテーブルの端を掴み、爪が木に食い込んだ。

「や…」彼女は息を吐き出した。

カインは彼女の方を向いた。

「彼女に何を…」彼は前に飛び出そうとしたが、椅子の下の影が閃いた。そこから五人が現れ、彼をその場に押さえつけた。

コーニは震えていた。目には恐怖が宿っていた。声が聞こえる。内側から。

オシャーは何もなかったかのように一口飲んだ。

「十分だ」と彼は静かに言った。

そしてすべてが消えた。

コーニは解放された。苦しそうに息を吸い込んだ。囁きは止んだ。涙がゆっくりと頬を伝った。

「召し上がれ」とオシャーは言った。嘲りもなく、喜びもなく。ただ、不可避性だけがあった。

彼女は視線を落とした。スプーンを取った。一口分を口に運んだ。そしてもう一口。黙って。涙を浮かべながら。

オシャーはカインを見ていた。

「オンブレ、彼を放せ。食事をさせろ。」

仮面たちは消えた。カインはすぐには動かなかった。彼の目は皮下に隠された炎のようだった。彼は手を伸ばし、焼かれた鶏肉を掴んだ。指が焦げた皮に食い込んだ。

オシャーから目を離さずに、彼は噛みついた。

鋭く。鈍い音を立てて。

「なんという目つきだ」とオシャーは、まるでそれが称賛であるかのように言った。

指が鳴らされた。

広間に一人の女が入ってきた――メイドだ。虚ろな目。喜びの痕跡もない仮面のような顔。白亜の絹のクッションの上には――カインの剣。

黒い刀。鍔はない。柄が刃へと繋がっている。その刃は割れたガラスのようにひび割れ、切っ先はギザギザだった。

「その剣はどこで手に入れた?」オシャーが尋ねた。

カインは黙っていた。

「ふむ。我々の対話をより実りあるものにするために…クラリサ、その剣をテーブルに置いてくれ。」

彼女は従順に置いた。

オシャーの目がターコイズ色に輝いた。

クラリサは固まった。そして…叫び始めた。倒れた。痙攣。口から泡を吹く。全身の痙攣。死の間際の遠吠え。

コーニは後ずさった。カインはその体を見ていた――そして、彼女もこうなるかもしれないと知っていた。

オシャーは彼女を一瞥すらしなかった。

「クラリサはたった今、十年前の火事で自分がどう焼死したかを思い出し…そして自分の死を見たのだよ。」

他の二人のメイドが静かに遺体を持ち上げ、まるでゴミのように運び去った。

「まさか、この素晴らしいお嬢さんに、戦場で矢で射抜かれた記憶を思い出させたいとは思わないだろう?」

カインは拳を握りしめた。頬が震えた。声は冷たいままだった:

「拾った。」

「どこで?」

「鉱山で。」

「鉱山で…」オシャーは考え深げに繰り返した。「バスティオン…つまり、お前があの男か。お前には金が懸かっている。莫大な金がな。」

カインは黙っていた。

コーニは歯を食いしばり、自分を取り戻すために唇を噛んだ。

「あなたの宮殿を見る限り、褒美は必要ないようだけど」と彼女は言った。

オシャーは微笑んだ。

「褒美?バスティオンはただの代官の一人だ。私と同じような。」

彼は椅子の背にもたれた。パンを割ったが、食べなかった。視線は再び剣に戻った。

「この剣は…特別だ。力を感じる。私の力に非常に近い。だが、私のものとは違う。別の力だ。」

彼は再びカインを見た。

「何ができる?」

カインは黙っていた。剣は彼らの間に横たわっていた。

オシャーは手を上げた。

指を握りしめた。指を鳴らす準備をしながら。

カインは理解した:脅しだ。彼自身にではなく――彼女に。

「この剣で殺すと…彼らが見える。」

「誰が?」

「恐怖。彼らの記憶。最も暗く、最も深いもの。死ぬ前に彼らを苛んでいたすべて。この剣で殺される者は皆、苦しみの中で死ぬ。」

オシャーは手を下ろした。

「面白い」と彼は言った。「非常に面白い。」

彼はゆっくりとグラスを回していた。

コーニが口を開いた:

「剣が必要なら、取ればいい。私たちをどうするつもり?」

「剣は…剣は私の注意を引いただけだ。だが、私が必要としているのは剣ではない。」

オシャーはカインを見た。

「神の代官とは誰か、知っているかね?」

「神がその力の一部を授けた者よ」とコーニは答えた。

「その通り。だが、代官同士が力で争いを解決することは禁じられている。それは古き契約だ。」

彼は立ち上がった。

テーブルに沿って歩いた。ゆっくりと。まるで一歩一歩を楽しんでいるかのように。

「各々の代官は代表者を選ぶことができる。定命の者を。その者の意志のために戦う者を。」

彼はカインの背後で立ち止まった。

「決闘だ。死ぬまで。どちらの戦士が勝つか――それが正義となる。」

カインは黙って聞いていた。コーニは歯を食いしばった。

「問題はだな」とオシャーは続けた。「私の代表者が…一週間前に死んだことだ。」

彼は視線をカインに移した。

「だから今、私には新しい者が必要なのだ。戦士が。戦うことができる者が。」

コーニが割って入った:

「壁を壊すやつを取れば?」

「ヴィグフッスか?」オシャーは鼻で笑った。「ヴィグフッスもまた祝福を帯びている。」

カインが口を開いた。かすれていたが、確かな声で:

「俺がお前のために戦わなければならないのか?」

オシャーは笑った。

「私のために?私が誰だと言うのだ、お前が私のために戦うなどと。」

彼はテーブルに沿って歩き、グラスに触れた。

「いや。お前は彼女のために戦うのだ。」

代官はコーニを指さした。

カインは彼女の目を見た。

それはもはやただの少女ではなかった。ただの囚人ではなかった。彼らの間には――糸があった。細いが、本物の。

「やめて」と彼女はささやいた。「どうせ彼は私たちを解放しないわ。」

「今日は随分とおしゃべりだな」とオシャーは言った。「ここ数日とは違う。」

コーニは話したくなかった。だが、体の中で何かが爆ぜた。恐怖が突然、怒りに変わった。

「私を怖がっているとでも思うの?」彼女はきっぱりと言った。「私はあなたよりも怖いものを見てきたわ。」

オシャーは黙って見ていた。そして――笑った。長く。大声で。

「よかろう…

オンブレ。

このお嬢さんに礼儀を教えてやれ。」

影から仮面が現れた。五人。

一人はコーニへ。残りはカインへ。

四人が彼を掴んだ。五人目は――彼は見えなかった。

その者がコーニの喉を掴み上げるまでは。

「やめろ!」カインは息を吐き出した。

彼女はもがき、かすれた音を立てた。顔は紫色に変わり、目から光が失われていった。

カインはただ叫んだのではない――彼は壊れた。彼が初めて怒りからではなく――恐怖から叫んだのは。

「やめろおおお!」

「俺が…

俺が戦う!」

オシャーは立ち止まった。微笑んだ。

「結構だ。」

「オンブレ、彼女を放せ。」

仮面は指を緩めた。コーニは床に崩れ落ちた。まるで壊れた肋骨を通して呼吸しているかのようだった。生きてはいる――だが、まるで境界線の向こう側にいるかのようだった。

オシャーはカインに身をかがめた。

「ゆっくり休むがいい、挑戦者よ。明日はお前にとって…非常に厳しい一日になるだろう。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る