第12話 回想⑤

この世界が仮想空間であることをどのように周囲に伝えるべきなのであろうか。其れは、直接的に言うのではなく、自分の行動で周りに知らせるべきだと思っていた。

「ちょっと歩きませんか?」

そう橘は大沢に言った。

「いいですよ」

そして、橘と大沢はナースステーションの方に行ったのであった。病院の治療方針を見て。

「あの文章良くないですか?」

そう橘は言ったが、大沢は驚いたように

「え、えぇ、いいと思います」

といったのであった。橘は、あれ?この方法はおかしいのかな?と思ったが続けた。絵を見て

「この人たちは僕らのこと知ってるんですかね?」

と大沢に聞いた。すると大沢は

「ちょっと、何のことだか…」と口を濁した。あれ、大沢は気づいていないのであろうか…。ナースステーションには医師への診察ボックスが置いてあった。この箱に問診票を入れることが出来る。これも使えそうだ…。

橘と大沢はデイルームに戻りテレビを見ていた。何となくテレビを見ていると、登場している芸能人が「そこまでやっちゃう!?」「びっくりしたよ!」などと言っており、その言葉が橘に対して何か訴えるような感覚になり、それが面白く段々とテンションが上がってきたのであった。橘は調子に乗り始めていた。何か面白いことをやろうと思うようになっていたのであった。昔、入院した際に言われた言葉で、周りに迷惑をかけなければ何をしてもいいということを言われたのを思い出したのであった。とりあえず、診察ボックスに主治医への感謝のことを伝えようと思い、問診票に書いてボックスの中へ入れたのであった。橘には同室で話をする中の人がいた。高田だ。高田は中学生で自殺未遂をして入院してきた経緯があった。橘と高田は親子くらいの年齢だ。そのため高田は自分の息子のような感覚で接していたのであった。高田とはよくアニメやライトノベルの話で盛り上がっていた。

「好きなアニメは何?」と橘は聞いた。

すると高田は「ボトムス」と答えたのであった。

「ボトムスって俺の父親の世代とかじゃない!?」

「昔のアニメが好きなんですよ」と高田が言ったのであった。

そんな雑談を高田としていたのであった。

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真実の欠片 タツヤシンセシスサーティ @yorunoteiou4609

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