車管制

Hogeko

第1話

 フロントガラスに投影された信号表示が黄色に変わった。それと同期して車のブレーキがかかり、信号が赤に変わる前に停止した。

 西暦2050年4月8日午後6時。堀田萌之(ほったもゆき)25歳は、仕事帰りの車の中にいた。「今日は花金、今夜は楽しい夜になりそうだ」などと考えていた。カーステレオはAORを流している。

 その昔、信号機は交差点に設置されていたという。鉄柱をたて、そこに赤青黄のランプを下げていた。そのライトを点けたり、消したりすることで交通整理をしていた。色を運転者が目で見て判断し、ブレーキをかけたり、アクセルを踏んだりしていたのだという。なんて恐ろしいことをしていたのだろうと思う。

そんなことをしたら、多くの事故が起こったのではないか。車と情報技術の進化が融合した現在では、車は起動すると同時にネットワークに接続する。車管制システムの管理下に入るのだ。車は人間が運転するが、交通整理は管制システムによって行われる。信号機の制御もネットワークで行われる。他の車との位置関係は、車同士が三次元情報をやりとりしているので、衝突事故が起こることは、ない。速度制限も自動的に行われる。制限速度以上のスピードを出そうとしても、管制システムにより制限がかかる。速度違反は出来ないのだ。そう、だから速度制限の道路標識も今は無い。それらの情報は、車のディスプレイに逐次表示される。そう考えていくと、昔の道路は、たくさんの情報表示がされていたのだと思う。それを目で見て判断していたのだから、車を運転するには多くの技術が必要だった。

 車は、運転技術必要+車から、自動+車に変わった。

文字通り、「自動車」になったのだ


(この物語はフィクションです。実在する人物や団体などとは関係ありません)

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車管制 Hogeko @Hogero

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