【SF短編小説】月の光の下で ―縮小する地球、拡大する愛―（約20,000字）

　地球が縮小し、月が拡大する―

　世界を揺るがす前代未聞の現象が発生した2030年。天体物理学者の卯月理人と地質学者の春見月香は、この危機を解明するために出会う。

「これは空間自体の再配分です。地球と月が共鳴している」

　二人が提唱した「空間共鳴理論」は世界に希望をもたらすが、地殻変動や海面上昇は容赦なく進行していく。増加する重力、変わりゆく景色、混乱する社会―。

　科学者として真実を追求する中で、二人の間に特別な感情が芽生え始める。

「この危機の中で出会えたことが、私の希望です」

　世界の終わりが迫る中、月の光に照らされた二人は愛を育み、新たな均衡を見出していく。これは危機に立ち向かう科学者たちの物語であり、終わりの中に始まりを見つける人類の記録である。

　縮小する地球と拡大…続きを読む