静かに寄せては返す波のように、胸に沁み入る作品でした。 孤独の中に光る微かな温もり──それに出会った者が、何を失い、何を得るのか。 読み進めるうちに、鬼という存在が、ただ恐ろしいものではなく、ひとつの命として、優しく、あまりに人間的に響いてきます。 すれ違うことも、手を取り合うことも叶わないかもしれないけれど、それでも交わった心の灯りは消えずに残る。そんな気持ちが、穏やかで少し切ない余韻となって、そっと胸を揺らしました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(35文字)
桜が散りゆくなかで諸行無常を感じさせる印象を受けました。きっとこれはトゥルーエンドなのでしょうね。桜満開のこの季節に良い話と出会えました。
普段、チャンバラアクションや巨乳小説をお書きになっている鷲巣晶さんが、鬼と人との恋愛小説を描かれました。 美しい生贄を食べる事ができず、愛に目覚めた鬼が、それゆえに死を選び、そして幸せな生涯を終える。 幸せとは、欲望の充足だけでは決して辿り着けず、心の中にしかないものなのだということを感じさせる好編でした。 短いですからすぐ読み終わります。 昼休み終わる前にそれっ!