足首を妬く焦燥

州壬 出

架空小説書き出し

僕の故郷の島は大きかった。

過去形な理由は、大都会に移り住んだ訳でも

大きな災害に見舞われた訳でも無い。

当時、中学2年生の修学旅行で初めての都会の喧騒に耳を塞ぎ、走り続けるコンクリートに目を疑った。

何に対する劣等感か内から込み上げてくる瑞々しい憎悪を、行きのコンビニエンスストアで買ったツナマヨおにぎりで口を覆い、堰き止めた。

高校進学と共に親に持たせてもらえたスマートフォンで、大きな島だと思っていた故郷が、地球温暖化の影響で年々面積が小さくなっている事を知った。

僕は今、水位の上がった波打ち際に立っている。

真後ろで眠る、愛犬のツナが、

海に浸らまいと。

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足首を妬く焦燥 州壬 出 @Deru_Shuujin

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