第終話 太陽の光

「どうする?海をバックに撮る?」

「そうだね。」

「美岬がスマホ持ってー。」

 3人の中で一番背が高い美岬がスマホを持ち、内カメラで写真を撮る。海に背を向けて、私たちは美岬の手によって高く掲げられたスマホに向かって笑う。

「撮るよー。」

「おねがーい。」

 何枚か写真を撮り終え、3人でスマホを覗き込む。スマホの中の3人の後ろには青い海と空が広がっていた。

「わー!いい写真!」

「すごい!」

 何枚か取った内の最後の写真を見ると、その写真だけ太陽の光の筋が映り込んでいた。それは透明な色で、ガラスが反射しているような薄い緑とピンクの光の筋が、上部から私のほうへ降り注いでいた。

「えー!なんかこの写真綺麗!」

「ほんとだ。なんか神秘的。」

 葵と美岬はその写真のその光の筋を見て、楽しそうにしている。私もその光が綺麗だと思ったが、その光を見ていると、それは単なる太陽が水面に反射した光ではなく、私には別の意味があるように思えてしかたがなかった。

 もしかして…。私は空を見上げた。真っ青な空に白くまばゆい光を放つ太陽があった。…きっと、そうだよね。

「じゃあ、そろそろ駅のほう行こうか。」

 美岬が言った。その言葉に私と葵は頷いた。

「そうだね!」

「行こうか。」

 私たち3人は海に背を向けて歩き出した。浜辺を足もとをすくわれながら左右に体を傾けながら歩く2人の後を少し後ろからついていく。私の背中にはまだあの太陽の光が降り注いでくれていると思った。


「ねえ。」

 私が2人の背中に呼び掛け、並んで歩く2人の間に入る。

「ちょっと2人に聞いてほしいことがあるんだけど。」

 私がそう言うと、2人は少し驚いた表情をしていたが、すぐにいつもの感じになった。

「え~何何?」

「明日香がそんなこと言うの珍しくない?」

 2人はからかうような話し方をしていたが、その表情はとても優しかった。

「聞かせて。」

 葵と美岬は笑顔でこちらを見ている。私も素直になりたい。伝えたいことは今伝えたい。恥ずかしがらずに、かっこつけずに、私は伝えたかった。

「この前話していた、お世話になった人の人生を見てみたいって話なんだけど…。」


 浜辺を歩きながら話す3人の後ろ姿は、写真に収めたいほど、素敵な人生の一場面だった。




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走馬灯ミュージアム 森村圭 @morimura_kei

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