踏切の先で君に会う

百合 一弘 ーゆり かずひろー

掛け違えた思い

恋の踏切の続編です。


♦︎


普通死んだら三途の川を渡る。だが命が尽きた私が見たのは、川ではなく踏切。皮肉なことに彼女が亡くなった失恋した人が通ると死ぬ踏切によく似てる。


顔を上げると、死ぬ間際に見えた幻覚だと思ってた彼女が居た。私が殺した彼女がそこに立っていた。最後の日に着ていたであろう部活動着のまま。本当に彼女は死んでしまったのだと嫌でも感じさせられた。


ごめん。そう伝えたかった。彼女を悲しませたくない。そんな理由は建前で自分が傷つくのが怖かっただけなのだから。独りよがりな理由で彼女を殺した。それを謝りたかった。


美佑みゆっご……」


「こっちに来ないで! 絶対来ないで!」


普段穏やかで優しい彼女が恐ろしい血相で、怒鳴ってくる。ああ。美佑は私を恨んでるんだ。そう思うと涙が出てきた。自業自得なのに。なんて自分勝手なんだろう。


「まだ来ないで! 生きてよ私の分まで!」


その言葉が信じられなかった。恨んでるはずなのに。なんで。なんでそう言ってくれるの。彼女の優しさに触れ涙の量が増える。どこまでも優しすぎる彼女に対して。


そして私は勢いに任せて踏切を走り抜けた。


「美佑っごめん」


そう言って頭を下げた瞬間パチィィンと頬を叩く音が響いた。


「なんでこっちくるの? まだ生きれたんだよ? 病気を治して何十年も後しわくちゃのおばあちゃんになってこっちにきて欲しかったのに」


声を荒げて泣きながら美佑は私の背中を叩いた。なんとかして踏切の向こうに戻そうと。


「美佑! 私は美佑に謝らないといけないの。本当ごめん自分を守るためだけに自分勝手に別れてごめん。」


ごめん。それを何度も何度も繰り返した。


「私……私だって謝りたい。アキが病気だって分かったのに何もしてあげられなくてごめん」


もう少し私がちゃんと話していればこんなことにはならなかったかもしれない。私の命が尽きるその日まで2人でいられたかもしれない。美佑の気持ちを知ってそう思わずにはいられなかった____

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踏切の先で君に会う 百合 一弘 ーゆり かずひろー @kazuhro

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