あの日見たばあちゃんの母親を私はまだ知らない。

第2話 かくれんぼ

　ばあちゃんの家は、木造2階建ての昔話に出てくる家。今より小さい時はお化け屋敷に行く時みたいな、怖いけど中を見てみたい、初めて来た時は、恐る恐る玄関の引き戸に手を伸ばして、一歩一歩、家の中に入っ行ってて、タイムスリップ。

教科書やネットで見た、昭和って言うのが、たくさんあった。

和式トイレ、三面鏡、急な段差の階段。

見るもの全てが、古くても新鮮で怖さよりもワクワクで楽しかった。

いちばん楽しかったのは、ばあちゃんとの、かくれんぼ。

隠れるのは、ずっと私。

探すのは、ずっと、ばあちゃん。

「もういっかい」と私が言えば

「もういいかい」とばあちゃんが言う。

見つかっても何回も、何回も、ばあちゃんとかくれんぼしたのは、もう10年も前の事。