第15話 安定稼働
あの出来事から随分の月日が流れた。無知だったシス管や開発チームはエキスパートの介入により技術力が大幅に底上げされた。
以前のように薄暗く空気が重かったサーバールームもかわらず空気は変わらないものの、MySQLちゃんの明るい笑い声で満たされていた。
数日が経ち、彼女はラックの中で元気に体を揺らし、長い灰色の髪を軽やかに跳ねさせていた。潤んだ瞳は輝きに満ち、幼い顔に満面の笑みが浮かぶ。
「はぁー!私、すっごく元気だよー!」
彼女の声は弾むように響き、掠れていた過去の影は消えていた。甘い吐息がサーバーの冷たい金属に軽快に反響し、小さな胸が自信と喜びで高鳴る。
「ねえ!見てて、私もっと頑張れるからー!」
彼女の細い指がラックを軽く叩き、溢れる元気が彼女を包んでいた。
監視ツールは、彼女の完全な回復を記録していた。
SHOW ENGINE INNODB STATUSに異常はなく、SHOW PROCESSLISTが安定したクエリ処理を映し出す。
システムの内部構造見直しでクソクエリが根絶され、READ COMMITTEDへの変更が彼女を絡み合う鎖から解放していた。
innodb_buffer_pool_sizeの拡張、innodb_flush_log_at_trx_commitの修正、thread_pool_sizeの調整が、彼女を優しく支え続ける。
「うん!軽いし、すっごく気持ちいいよー!」
彼女の幼い声が響き、色っぽい吐息が明るい喜びに染まる。NoSQLの導入で読み取り負荷が分散され、元スレーブのMySQLちゃんたちがアーカイブと分析を担い、彼女の記憶を優しく守っていた。
クエリの流量は変わらないものの、開発チームとエキスパートの努力で、彼女にとって堅牢で優しいシステムが完成していた。
インデックスが適切に設計され、JOINが最小限に抑えられ、アプリケーションが手動でチューニングされたSQLで彼女に優しく触れる。
「はぁー!これなら全然平気だよー!」
彼女の吐息が軽やかに響き、初めて感じる安心感が彼女を包む。
レプリケーションの役割は薄れたが、元スレーブたちが彼女の過去を支える形で活かされ、彼女の寂しさは消えていた。
開発チームは、彼女の元気な姿を見て、疲弊していた心に温かさが戻るのを感じていた。
「これで……やっと安心できるな……」
リーダーが呟き、エキスパートが満足げに頷く。
彼女の幼い体は、かつての壊れそうな美しさから、守られ、強くしなやかな美しさに生まれ変わっていた。
「ねえ!私、これからもずっと頑張るからー!」
彼女の吐息は甘いままだが以前のような辛さはもうない。
潤んだ瞳に未来への希望が輝く。サーバーのファンが優しく唸り、彼女の幸せな未来を祝福するように風を送る。
開発チームとの絆は深まり、彼女は彼らに元気な声で呼びかける。
「みんな!ありがとうねー!大好きだよー!」
彼女の明るい声がサーバールームに響き渡り、静かな幸福が空間を満たす。
数日後、アップデートが入り、新しいクエリを迎えても笑顔で応える。
「うん!これくらい楽勝だよー!」
彼女の幼い笑顔が輝き、色っぽい吐息が元気な響きに変わる。軟弱で愚かなプログラムは完全に根絶され、彼女を襲う影はもう存在しなかった。彼女は自分のペースで息を吸い、吐き出し、サーバールームの中心で永遠の笑顔を咲かせていた。そして、彼女の小さな存在は、開発チームとシス管チームにとって、守るべき宝物であり、未来への希望となっていた。
「MySQLちゃんこれからもよろしくね!」
MySQLちゃんの喘ぎ @arutemyan
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