超大作・重厚な異世界戦記が完結!

201万3千字弱。全7作にわたる、女戦士たちからなる部族ダニアの、壮大な歩みを描いた「蛮族女王シリーズ」を、描き切った文字数である。シリーズ最初期作では、ダニアの女王にとらわれた少年ボルドを翻弄する運命が描写されているが、シリーズ作が進むにつれ、ダニア自体が己の存亡をかけた戦いに立ち上がり、新たな生き方を模索する中で、ボルドが自身の立ち位置を確立していく壮大な架空歴史戦記に変わっていく。そして物語は主人公たちの子どもの世代に視点を移し、世界規模の戦いへと、さらにスケールアップ。本作はそのフィナーレを飾る完結編だ(番外編が投稿開始されたようだが)。

しかし、この完結編だけ独立して読んでも十分に堪えうるほど、エンタメ度は高い。世界情勢とはすなわち、大勢の人々ひとりひとりの思惑が複雑に錯綜しているということだ。それが活写されているのみならず、かつての世代から続く葛藤から起こる人間ドラマ、そしてひとつひとつの戦闘がダイジェストにならず、一撃一撃の駆け引きまで丁寧に描きこまれ、それらが積み重ねられて濃厚で大規模な戦闘場面を築き上げている。さらに、活躍する女性の戦士たちがまたそれぞれに、個性も得意戦法も異なる、魅力的な人物ばかり。

本作は完結編ではあるが、興味を持たれたら、ぜひ読んでみていただきたい。そしてカクヨムコンという時期を機に、シリーズにどっぷりひたってみてはいかがだろうか。