お布団冒険隊
相内充希
第1話
八時になりました。
「ひーちゃん、りっくん。お布団に行くよ」
お兄ちゃんの呼びかけに、ひよりとりっくんは「はいっ」と元気よく手を上げました。
お兄ちゃんは年長さん、ひよりと双子の弟りっくんは年中さんです。
ひよりのおうちにベッドはありません。寝るお部屋に毎日お布団を敷いて、家族皆で寝るのです。
でも今日は金曜日。
お父さんとお母さんは一緒にお部屋には来てくれません。金曜日だけは子どもたちだけで先に寝るのがお約束なのです。
さみしくないかって?
最初はね、ほんのちょっぴり泣いてしまったけれど、ひよりとりっくんはもうすぐ五歳ですし、お兄ちゃんなんて六歳! 大きいおにいちゃんおねえちゃんなので、子どもだけでも楽しく寝ることができるのです!
「さあ、今日はどうする?」
お布団に座ってお兄ちゃんがひよりとりっくんを見ました。子どもだけで寝るときは、子どもだけの特別な時間。
皆で絵本を読むのもいいですが、最近のお気に入りは大好きなテレビ番組「ポコアポコのおふとん冒険隊」のマネっ子。
「今日は空の国へお祭りに行こー」
「おまつりー」
ひよりとりっくんがさっき見た内容を真似すると、お兄ちゃんが「ラジャー」とカッコよく敬礼してくれました。
さあ、お布団を飛行機に変身させましょう。
掛け布団は丸めて飛行機の羽に。枕を集めて操縦席にしたあとは、機長のお兄ちゃんを挟んで座ります。
「ゆけーゆけー
おふとん号
今日は東 明日は西
今日も楽しく冒険だー」
三人で楽しく歌いながら空を飛べば、あっというまに空の国です。
「雲の上はフワフワだねー」
「おうちが小さく見えるよ」
「あっ、お祭りが始まってる!」
空の国のお祭りでは、ダンス大会が開かれています。一番楽しく踊った子が優勝です。
何を踊るか相談した三人は、幼稚園のおゆうぎ会で年中さんが踊るダンスを踊ることに決めました。
おしりふりふり かわいくね
おててを高く上げて お星さまピッカピカ
向かうところ敵なしの
天下無双の可愛さよ
両手を腰に当てたら 片足ずつつま先を上げて
はい ポーズ
ダンスを教えてもらう時に先生が言っていたことを思い出しながらひよりが音頭をとると、お兄ちゃんはププッと笑いながら、まだちょっとしか覚えていなかったりっくんは、真剣の目でひよりの真似をします。
楽しく踊ったので、もちろん皆優勝です!
「そろそろ寝なさいねー」
お台所からお母さんの声が聞こえました。
今日の冒険はここでおしまい。
「「「はーい、おやすみなさーい」」」
よい夢を。
お布団冒険隊 相内充希 @mituki_aiuchi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます