風と踊る青い鳥

ぽんぽこ5/16コミカライズ開始!

第1話

 祖母が亡くなった翌日、実家の庭に奇妙な鳥が舞い降りた。青い羽根を持つその鳥は、どこか神秘的で、まるで人の言葉を理解しているようにこちらを見つめていた。


「……『幸せの青いトリの降臨』だ」


 母が呟く。その言葉に、僕は半信半疑だった。祖母がいつも話していた昔話の中に、青い鳥が降臨すると幸せが訪れるというものがあったが、ただの作り話だろうと思っていた。


 しかし、その日から不思議なことが続く。壊れていた家の柱が、まるで誰かの手で修復されたように元通りになっていたり、行方不明だった祖母の指輪が、鳥が留まった場所に落ちていたり。まるで祖母がまだここにいるかのような出来事ばかりだった。


 僕は鳥を観察するうちに、一つの確信を持つようになった。


「おばあちゃん?」


 鳥はその言葉に反応するかのように、ふわりと舞い上がり、僕の肩に止まった。


 その瞬間、何かが心に流れ込んできた。幼い頃に祖母と過ごした日々、笑い声、手を繋いで歩いた記憶。そして最後に祖母が言った言葉。


「幸せは、探すものじゃなくて、気づくものなんだよ」


 そんなことを思い出していたその時、不意に庭の隅から音がした。振り向くと、見知らぬ老人が布団を抱えて立っていた。


「おぬし、天下無双のダンスを知っておるか?」


「え?」


 突然の質問に戸惑う僕をよそに、老人は布団をポンと広げると、その上で軽やかにステップを踏み始めた。まるで重力が存在しないかのような動きだった。


「これは、お主の祖母が若い頃に伝授されたものじゃ。青い鳥とともに舞う、特別なダンスよ」


「ばあちゃんが……?」


 僕は驚きながらも、見よう見まねでステップを踏んでみた。すると、青い鳥がふわりと飛び立ち、僕の周りを旋回し始める。まるで導かれるように、僕の動きは次第にスムーズになっていった。


「そうじゃ、それが魂の舞よ!」


 老人が笑い、青い鳥が高く舞い上がった。その瞬間、僕の心の中に、祖母の笑顔が鮮明に浮かんだ。


「ありがとう、おばあちゃん」


 空を見上げると、一羽の青い鳥が遠くからこちらを見ている気がした。


 風がそっと頬を撫でる。僕は微笑み、庭の花壇を見つめた。そこには、祖母が大切に育てていた青い花が、静かに揺れていた。


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風と踊る青い鳥 ぽんぽこ5/16コミカライズ開始! @tanuki_no_hara

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