第11話 崩壊 - 終焉の時
荒れ果てた世界の中で、イーサンとナオミは最後の戦いに臨んでいた。
彼らが築き上げたコミュニティは、幾度もの戦いを経て成長し、より強固なものになったはずだった。だが、それも長くは続かなかった。
「もう、これ以上の戦いは無理よ…」
ナオミは疲れた声で呟き、倒れそうになるのを必死でこらえていた。
「諦めるな。最後までやり抜くしかないんだ。」
イーサンはパワーアーマーの装甲を握りしめながら言った。だが、彼の表情には焦りと絶望の色が浮かんでいた。
彼らが守ろうとしていた避難所は、ついに圧倒的な軍勢によって包囲されていた。
敵は、以前の盗賊グループとは比べ物にならない規模だった。彼らは、荒れた世界の中で生まれた新たな支配者であり、力こそが全てという思想を持つ**「レッド・レギオン」**と呼ばれる軍隊だった。
「…これが、俺たちの終わりなのか?」
イーサンは、遠くに見える無数の敵兵士たちを見つめながら呟いた。
⸻
「来るぞ!」
イーサンが叫ぶと同時に、敵軍が一斉に襲いかかってきた。
銃声が響き渡り、爆発が次々に起こる。
イーサンはパワーアーマーを駆使して戦い続けたが、それでも敵の数が多すぎた。
「ナオミ、無事か!?」
「まだ…大丈夫。でも、これ以上は…!」
彼女の声は苦しそうだった。すでに弾薬も尽きかけ、身体には無数の傷が刻まれている。
イーサンは仲間たちと共に戦い続けたが、次第に戦況は悪化していった。
次々と仲間たちが倒れていく。
エリックが敵の弾丸に倒れ、最後の防衛ラインが突破される。
ナオミもまた、負傷しながら必死に戦っていたが、ついに膝をついた。
「もう…ダメ…イーサン…」
ナオミの手が震え、銃を落とす。
イーサンは彼女のそばに駆け寄るが、その瞬間、爆発が巻き起こった。
⸻
爆風に巻き込まれ、イーサンは地面に叩きつけられた。
視界がぼやけ、耳鳴りがする。
「くそっ…まだ…終わってない…!」
しかし、立ち上がろうとしたイーサンの前に、レッド・レギオンの指揮官が立っていた。
「よく戦ったな、イーサン・カーライル。だが、ここまでだ。」
指揮官は冷たく言い放ち、イーサンに向かって銃を構えた。
イーサンは最後の力を振り絞り、パワーアーマーの腕を動かそうとする。
だが、すでにエネルギーは尽き、装甲はボロボロに破壊されていた。
「クソ…俺は、こんなところで…」
ナオミは横たわり、動かなくなっていた。
仲間たちも、すでに全滅していた。
「俺たちは…こんな結末のために戦ってきたのか…?」
イーサンの目に涙が浮かぶ。
指揮官が引き金を引く。
銃声が響く——。
⸻
エピローグ:荒れ果てた世界
戦いが終わり、荒れ果てた世界には静寂が戻った。
レッド・レギオンは勝利し、コミュニティは完全に破壊された。
そして、イーサンの亡骸は、荒野の片隅に埋もれていた。
やがて、風が吹き荒れ、すべてを砂の中へと埋め尽くしていく。
人類の未来を守るために戦ったはずの彼は、誰にも知られることなく、歴史の闇に消えていった。
ナオミの亡骸のそばには、彼女が最後まで握りしめていたイーサンのペンダントが落ちていた。
それを拾い上げたのは、インスティチュートの調査員だった。
「……また一つ、人類の愚かな歴史が消えたか。」
彼はそう呟くと、ペンダントをポケットに入れ、去っていった。
世界は何も変わらない。
希望も、夢も、すべてが終わりを迎えた。
そして、荒廃した大地の中で、新たな戦いがまた始まろうとしていた——。
⸻
THE END
Vault 69〜閉ざされた楽園〜 湊 マチ @minatomachi
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