虚構の境界線

2042年、世界は混沌の渦に沈んでいた。

米国内戦。

中国内戦。

相次ぐ地域紛争とテロ攻撃。

日本もまた、その激流に巻き込まれていた。

世界各地の内戦と高度化するテロの脅威に対応するため、日本は国家機能を分散。

新首都は栃木県北部、行政の中心は松本市付近、経済の要は東京へ――。

サイバー空間と現実空間が融合し、『ハイブリッド戦争』が常態化したこの世界で、日本政府は『統合特殊情報戦司令部(JISF)』を設立。

認知戦・サイバー戦・非正規戦への対抗手段を確立し、国家を守る防波堤とした。

その裏で密かに活動するのが、『特別行動班』。

隊長・神崎蓮（カンザキ レン）は、生まれながらに『認知ハック』が一切効かない特異体質を持つ。

その純粋すぎる意志は、仲間でさえ恐れるほどの狂気を…続きを読む