9回目だったそうですよ。
るるあ
夢は見ないタイプです
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
正しくは、
「9回目だったらしいね知らんけど」。
自慢ではないが、私は眠りが深い方だ。
よっぽどの事がないと、夢など見ない……いや、夢など覚えていない、というのが正しいのかも知れない。
そんな私が、ここのところ週末になると必ず、傾国の美女である妲己もかくやという和風?中華風?な女性から、何やら呼びかけられる夢を見ていたようだ。(正直、記憶にない)
一回目
「もうし……もうし……人の子よ……。
妾の声が聞こえておるかえ……?」
二回目
「おおおーい!人の子よー……!
妾との……約束……思い出し……」
三回目
「……おおおーーーいい!!!
聞いておるのだろう人の子よ!!!!
何故そなたはそのように眠りが深………!!!
……、!!!……!、!!!!」
以下、割愛。
で、現在何故か、見渡す限り真っ白な……夢の中?でその美女の前に正座させられ、今回が9度目の夢である事を滾々と説き伏せられて?叱られて?いる。
「アヤツの子孫であるからしてそなたを選んで見たが本当にもうなんというか……その鈍さに関してはもうアレだ類を見ない希少性がもう甚だしいてはないかえあああもうー!!!」
彼女?は、美しく結い上げられた髪を乱し、地団駄を踏み、大変お怒りのようである。
「あの………。」
「なんじゃ!!!!!?!」
恐る恐る尋ねれば、キッとこちらを睨めつける美女。わー睨んでも美女〜。
「……もしかして、殺生石お堂再建の事でしょうか?」
「そ、そうじゃソレじゃ!!」
表情一転、ぱあっと華やかな笑顔で私に詰め寄る美女。
「あの、それ、百年くらい前?にですね……当時の当主である私の祖父が、移転と落成法要のご報告を、ご祈祷差し上げたかと思うのですが、ご分体の方々からお聞きではないですか………?」
やっぱりか、と思いつつ、恐る恐る奏上差し上げる私。
ご本体?からの“諾”の神託がない為、念には念を入れてという事で代々の当主には言い伝えられてる奴だよな、コレ……。
「……えっ?」
きょとん、とこちらを見つめる、
恐らく我が稲荷の、ご本尊……。
……と。
ポン、ポン、ぼふん!!!と、私の周囲に、尻尾に火を灯した銀の子狐達が現れた。
「あっ、皆さん……いつもお世話になっております。」
深々頭を下げる私に、キューキュー!コーン!!と群がる子狐様達。
そして。
「ぅ゙っ……。」
私と子狐様達に、じっ、と見つめられる美女……改め、九尾の狐様。
そこで、ふっと意識が途絶えた。
★★★★★★
「いやぁ……あんなに長い夢、初めて見たな……多分?」
我が稲荷の境内を掃き清め、早朝の爽やかな朝を堪能しながら、そう呟く。
アレは……何だったのかね?
一通りの作業を終え、朝のご祈祷がてらに本堂へと詣でてみれば……
「……えっと?」
御本尊の前に、立派な油揚げが1枚。
「…確か、高級お取り寄せ特集とかで見たよ、この油揚げ。」
もしかして、お詫びなんだろうか?
……その割には、齧った跡があるのは何でだろうかね??
「ふふっ。」
なんだか、可愛らしい。
この油揚げでいなり寿司を作ってお供えしたら、また夢に出てきてしまうだろうか?それとも私の最強寝付きの良さが勝つのだろうか?
……今夜は式神の守り無しで、眠ってみようかな?
9回目だったそうですよ。 るるあ @ayan7944
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