妖精の国があると信じていた話

明(めい)

妄想の激しい子供でしたその2

小学1年生か2年生の頃、姉が「妖精図鑑」というものを買ってきました。


図鑑は可愛い妖精の描かれたカードがトランプのように数十枚あり、別冊の解説書がついている、といったものでした。あくまでカードがメインで説明はおまけみたいな。


でも説明もきちんとされていました。


そのカードの絵の美しさたるや……。


私は姉が読んだ後、すぐに飛びつき、夢中になってカードと解説書を照らし合わせてのめり込みました。


妖精の王様オベロンとか、妖精の女王ティターニア(ティータニア?)とかが特に好きになりました。確かに本にはティータニア、と書かれていましたが、最近ではティターニアと呼んだり書いたりする人も見かけて、ティターニアなのかティータニアなのかわかりません。


あとはチェストという妖精だったかな? ミルクとクッキーを置くとやってくるとか。も好きでした。悪い妖精もいるようで、それはおどろおどろしく描かれていました。


あれだけのめり込んだ妖精図鑑も、今ではほぼ忘れているという。


イラスト描いたかたも当時有名だったのですが名前が思い出せない(汗)。


ひとしきり図鑑をマスターしたあと、妖精の国があるんだと思い込みました。


これ、小5まで続きます。


妖精の国がある。そうだ、家のどこかに秘密の抜け穴があって、そこに妖精の国と繋がっている場所があるんだ! 


とか思っていました。そこは迷宮みたいになっていて妖精と友達になって冒険するんだ! と考えました。


映画グーニーズとかラビリンスとか見てたので影響されまくりです。


普通にミルクとクッキー置いておけば良かったものを、家の中を探索し始めます。


小学1、2年生って家の中でさえ神秘に満ちあふれているように思えるんですよね。


でも、探索してもそんな抜け穴なんかない。あ。じゃあ、壁の向こう側にあるんだ。


きっと壁の向こう側に鍵があって、その鍵を開けたら七色に光る世界があるんだ。


その妄想を信じ込んだ私は家中を探し、それらしい鍵を発見します。


今から思えばなにかお菓子のおまけについていたおもちゃの鍵なのですが、精巧に作られていて、その鍵が妖精の国の入り口のためのキーなのだ、と思いこみました。


そして壁をドスンドスンと蹴りまくる。これを小5までやり続けていました。


例の本は4年ほど私を夢中にさせてくれました。(前回のお題のラピュタとはまた別で。複数の世界を同時に妄想していました。)


友達にも語り、私があまりにもそれらしく話し、秘密の鍵も見せたので、友達も信じ込んでしまいました。


そして家に呼んでは二人で壁を蹴ります。親の目を盗んで毎度毎度蹴ります。


友達とはなかなか妖精の国に行けないねえ、などと話していました。


そんなものはないと気づくのは小5の終わりです。現実面が大変になってきて、現実が見えてくるようになると、妄想は吹き飛び、そのような世界はないんだ、と我に返ります。


信じ込んでいたとはいえ、友達にあれは嘘だったと話すのは、申し訳なかったというか恥ずかしかったというか。


でもその数十年後。スピリチュアルにドはまりした姉が「妖精、私たちが本を読んでいたあの時、実はいたんだって」と話していました。本当にいたのかは謎です。


時間を戻して、妖精の世界を完全に体現してくれたのが、漫画家山口美由紀さんの


「フィーメンニンは謳う」でした。中学時代、夢中になって読みました。


当時ファンタジーがあまり流行ってなかったのですが、この方のファンタジーは素晴らしかったです。


泣きます。そしてこの話をもって、妖精への気持ちも終わります。


同作者の「音匣(オルゴール)ガーデン」もタイムリープものでおすすめです。


でも漫画家さんがそういう世界を描くということは、妖精に興味を示す人がこの世には存在するということですよね(とりとめもなく無理やりまとめた)。












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