俺は《詠唱不能》の魔法使い!

@senoo888

第一話 —フシミユウマの転送が完了しました—

 「こーんな腑抜けた顔した奴に魔法の才能があるんですかね?お姉さまっ」


 「そんなこと、呼び出してみないと分かる訳ないじゃない」

 

「でもでもっ~ほら!見て下さいお姉さま!今だって寝ころんびながら何かにやにやしてますよぉ~?」


 モニターには、何やら興奮が抑えきれない様子の高校生ぐらいの男が映っていた。


「この男の人はどうしてこんなに鼻息が荒いのかしら?」

 姉が真顔で、脳に浮かんだ疑問を、息を吐くように漏らしているのも束の間


 モニター上の男がスマホを手に取り、そして何か覚悟を決めるような顔を決めた後、ゆっくりとズボンのベルトに手をかけ———


「無理!もう無理!!こんなの見てられませんお姉さま!!」

 

 叫び声同時に動いた人差し指は『準備中』と赤くランプで警告されている転送ボタンを力いっぱい押し込んだ。


「えっ!?まだ装置のメンテナンスしてないってば!」

 姉の声もむなしく、転送装置は転送魔法を発動。


 一瞬の静寂。


 次の瞬間、ズボンを膝までおろした、情けないパンツ姿の男が転送されてきた。


「……あっ」


「…………えっ」


「……………………は?」


 三者三様の感嘆詞を一通り漏らした後、沈黙を切り裂いたのは転送装置の機械音だった。




 ——転送失敗、伏見悠馬の臓器が一部損傷しました——


 ——損傷した箇所は、”魔法因子消化器官”です——






 ***** **** *** ** * * * * * * * * * * 

 

 


 


 






















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺は《詠唱不能》の魔法使い! @senoo888

現在ギフトを贈ることはできません

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る