KAC2025に参加する話その1
那田野狐
第1話とある都市で行われる祭り
「たぁ!烈風斬!!」
赤い髪の少年が気合いの籠もった掛け声と共に剣を振り下ろす。が、剣は普通の勢いだ。
「出したい技じゃなくて出せる技を出せ!」
黒髪の壮年の男戦士が笑いながら木剣で受け止める。
「出せるわ!烈風斬!!」
もう一度、少年は剣を振り上げて振り下ろすが、男戦士は一歩踏み込んで剣を振り下ろす前に持っていた木剣を剣の根元に叩きつける。
「風属性を纏って剣技に生かせる。確かに同世代ではずば抜けて才能があるんだろが、烈風斬なんて聞いただけでその仕組みを想像させるような技を口に出して使うなんて論外だ。少なくとも詠唱破棄で隠せ」
男戦士は更に一歩踏み込んで足を掛け少年をひっくり返す。
「いやぁ、見事ですね」
パチパチと長髪のシルバーブロンドの青年が手をたたいて男戦士を讃える。
「これはラバード様」
男戦士は木剣を納め頭を下げる。
「今年はどうだい?」
「そうですね。自分の方では二人ほど・・・」
「今の少年を含めてかい?」
ラバードは興味深かそうに尋ねる。
「今の少年?いえ。あの少年は早咲タイプですが山は低いでしょうね。上限を迎える前に良い武器に恵まれれば良いのですが・・・」
男戦士はボリボリと頭をかく。
「早い手助けは本人たちにも為にならないですね」
「一時金を多く渡すぐらいですね」
男戦士はそう提言する。
「ではそのように」
ラバードはそう言うとその場を後にする。
「我ここに言上する。偉大なる汝の力もて我が前に立ちふさがりものを豪火に包め!」
黒いローブに身を包んだ緑色の髪の少女が杖を振り下ろすと、杖の先から拳大の火炎が飛び出し10メートル先の的を燃やす。
「文言は凄いけど豪火とは言えないよね」
ラバードは呟くように言う。
「まぁ呪文とその威力は魔力の量に比例しますからの」
白いローブに身を包んだ長い髭の老人はその長い髭を扱きながら笑う。
「ラルフローレン殿。今年、見どころのあるモノは?」
ラバードは尋ねる。
「あそこにおる銀髪のエルフかの?確かリルケリルケとか名前のハズじゃ」
少し離れたところにいる銀髪を高い位置でポニーテールにした少女を指さす。
「リルケリルケ殿マジックアローを打てるかの?」
口に手を当てて囁くように言う。遠話という魔法で遠くいる者に話を届ける魔法だ。
リルケリルケは大きく手を丸くすると空中に十本ぐらいの魔法の矢を作り上げ10メートル先の的に当てる。
「おお、凄いな」
ラバードは手を叩く。
「他に魔法使いは?」
「あと数人いますぞ」
「今年は魔法使いの方が豊作だな」
ラバードは満足気に呟く。
今日は冒険者の街を領内に治めるドラス侯爵の、年に一度の
KAC2025に参加する話その1 那田野狐 @nadanofox
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