第21話

"『君は何者なの?』"


その言葉がやけに頭に響いた

紬希はただの女の子だ、何者でもない。何者でもないのだ。


だって、夏咲 紬希の私はただの女の子で目立たないようにしなければいけないの。

でも、その考えは自分が何者か曖昧にするのだ


ああ、6人の視線が突き刺さる


「君は何者?」


もう一度、涼玖は紬希に問いかける


「……わたしは、何者でもない」


きっと、その声は震えて情けなかった









「そうか」


低音で心地よい声がそう発した

何者ではないという意味不明な発言にそうかと一言で肯定した

ただそれだけなのに、何故だか。

何故だか、私はすごくホッとしたのだった。


「涼玖」


「…、わかったよ。」


「夏咲さん、急にこんな質問してごめんね。困るよね?」


「え、や、大丈夫です」


「最後にもう1つ質問してもいい?」


「は、い」


「君はLucaに危害を加える存在?」


その言葉に私は目を見開く


「いいえ、絶対に危害は加えません」


紬希は力強く、凛としてそう答えた



6人から見た、そのときの彼女はとても美しかった













「そっか…、ごめん夏咲さん」


「いえ、私は貴方達に何も危害も加えませんから安心してください」


紬希の言葉に新、琉椰、望央も続けて謝罪の言葉を言う






「夏咲さん、改めて今日はごめんね。」


「いえ、あの、失礼します」


「夏咲さん、今度また聞きたいことあるから来て欲しい」


その言葉に私は解釈をして答えた




















誤解は少し溶けたはずだ

しかし、やはり涼玖と琉椰の冷たい視線は残ったままだった







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僕らの青春は危険です 神崎憂 @yumi_04_

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