第20話
「さて、自己紹介が終わったし夏咲さんを呼んだ理由を話そうか」
テメェ、何で呼び捨てなんだよととブツブツ文句を言っている直央を無視して涼玖が話し出した
「…はい」
涼玖の声掛けに一斉に空気が重くなった気がした
私が極道の娘ってバレたのかな、、?
そんな考えが頭の中を占める
手をギュッと握り目の前の涼玖の様子を伺う
「夏咲さんは俺たちの知ってる?」
「え」
予想外の質問だった。もしかして有名人なの!?確かに、この学校の女の子達にキャーキャー言われてたし有名な人達なのかもしれない
「俺らさっき自己紹介したよね、名前聞いた事なかったかな?」
「え、あの…。ごめんなさい、私テレビあんまり見なくて………」
「テレビ?」
「は、はい。有名な方なんですよね?もしかしてアイドルとか…」
存じ上げなくて…と申し訳なくなり涼玖の様子を伺う
涼玖はパチクリと目を瞬きをしていた
「ギャハハギャハハ!!」
その横で、ボソボソと文句を言っていた直央が手を叩きながら笑う
「こ、このチビ馬鹿だ!!!」
手を叩きながらさらに笑う
「ち、ちびとは余計な!!」
「つむちんかっっわいい!!」
望央が笑いながらかわいいかわいい!!と連呼す
る
そして、新は肩を震わせて琉椰はニヤニヤしていた
5人の男たちに笑われている理由は分からなかった
…何か、私変なこと言ったの?
かぁーと頬が赤く染まる
「…アイドル?」
ワンテンポ遅れて晴久がそう言った
「美少年さん!!さっきの言葉復唱しないで!!」
真っ赤にして晴久に向かって叫ぶ
「ははっ。ごめんね、俺らアイドルではないんだ。」
アイドルじゃないの!?
あ、もしかしてご当地のイケメンTOP10に入ってたりする人達?
「夏咲さん、"Luca《るか》"って聞いたことない?」
そんな馬鹿げた思考を遮るかのように涼玖は尋ねた
「Luca、ですか」
「知ってる?」
「聞いた事はあります、確か暴走族だとか」
「そうだよ、Lucaは暴走族だ」
君は知らないかと思ってたよと
私はここら辺のことは詳しくない。
けど、Lucaは有名だ
Lucaとは東西南北あるこの地区の内、北のトップである暴走族である。
私が南に住んでいるときもその強さとLucaの正統派ぶりの噂は耳に入ってきていた
そして、南のトップがVOID《ボイド》、闇である。
北のLuca《ルカ》と闇のVOID《ボイド》この2つの暴走族は対立している
「それで、Lucaとは何の関係が…」
「俺たちはLucaなんだ」
涼玖はそう言って私に微笑みかける
「あっ、」
そういうことか、私は南の人間なのだ。
「私が南に住んでいたからこうやって呼び出したのですか」
「まあ、それもあるね。でも、それだけではないよ。君は何か心当たりあるのではないかな」
「……情報」
「正解」
「君について少し調べたんだ。」
「普通だったでしょう、私の情報」
「そうだね。普通すぎたからこそ不自然だった。君の両親の仕事や君の学歴は少し違和感があったんだ。だから、俺は君をもう少し調べた。」
私調べられてたの…?
バレてないよね、極道の娘だって。
目の前にいる涼玖は息を吐く
「でも、君の情報はそれ以上出て来なかった。君は何者なの?」
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