第19話

まだ声色が硬い私にクスッと新は笑い頭をまた撫でた


「次の自己紹介は金髪の男だ」


キューティーボーイ仁奈くんの隣にいる金髪の男に目を向ける


あれ?2人とも凄く似てない?


「もー。ナオ、ムスッとしないで自己紹介するよ」


「はっ、するかよ。だいたい俺は今日予定あったんだよ」


それもこの女のせいで、望央や新に媚び売ってるしとボソッと零す


「ナオ、早く自己紹介しろよ?」


「は?ぜってぇいやだ」


新の催促にもナオは反抗する


「ナオ?」


「げ、涼玖」


「自己紹介するよね?」


「しねぇよ、だいたい俺がする意味ねぇよ」


「この前オマエ、俺の教科書に落書きしてたよね」


こ、こわい。何、大魔王!?

それに王子顔の涼玖からオマエって!?


涼玖の笑みは真っ黒でナオを捕らえていた


「イヤー。オレ、ベツニラクガキシテネェヨ」


ナオは強気な態度に見えるが顔は青ざめ、必死に涼玖から目を逸らしていた


「自己紹介」


「ェ」


「自己紹介」


にっこりと黒い笑みを浮かべてナオを急かす


こここここ、こわっ!!!

当事者ではない私も震えてくる怖さ

絶対大魔王だよ!!


「ハイ。自己紹介ヤラセテモライマス」


そう言ってナオは私の目の前にきた


仁奈にいな 直央 なお


「え、はい」


「ナオー?それだけ?」


涼玖に急かされものすごく嫌そうな顔をした直央が紬希に近づく


じっと紬希を睨んだ後、あらかさまに強い口調で言う


「ちっ、俺に近づくなよ」


「あ、はい」


やば、思わず答えてしまった


「ちっ」


私の態度にさらにもう一度舌打ちをする

ムカッと来たが私は彼よりきっと(精神が)大人だ


だから、にこりと笑う


「ナオよろしくね?」


とびっきりの笑顔で言ってやった



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