忙しい人のための1579字で読める異世界転生

弐屋 中二(にや ちゅうに

忙しい人のための1579字で読める異世界転生

第一章 起


仕事がうまくいかずダメ社員というレッテルを貼られ、疲れ果てた仕事帰りに、信号無視した飲酒運転の車に轢かれ異世界転生した俺、誰とでも友達になれるチート能力を授かってしまう。


最初は戸惑ったが、その能力を使い、白人金髪美少女ナイトのマリア、和風黒髪忍者のリン、そして超ゴリラ族で身長2メートルの獣人もろみという三人の素晴らしい女性と友達になり、四人パーティーで王国ギルドの高難易度依頼を受けまくっていると、人間や獣人、モンスターの友達が増え続け、アビスドラゴンや、王国の高齢の王とも友達になってしまう。


そして俺は、引退する王から国を譲られ、国王となった。



第二章 承


自らの領地を手に入れ、仲間たちと平和な国を頑張って創る俺。仲間たちと共に、農業や林業、工業や商業に触れて教えられ、社会の仕組みを学び王として成長していく。トリプルヒロインのマリア、リン、もろみの俺を取り合う争いを収めつつ、幸せな日々が続く。しかし、魔王の魔の手が王国に迫っていた。


次々に落とされていく辺境の砦、なんと言葉の通じない幽霊や悪魔だらけの魔物たちには俺の能力が通じない!?

どうする俺!?


第三章 転


王都に迫ってくる魔王軍、俺は仲間たちと必死に戦うが、戦況はひたすら悪化していき、仲間最強のアビスドラゴンが数万匹の魔物に襲いかかられて行方不明になるなど、大切な仲間たちは次々に倒れ、玉座の間まで追い詰められてしまう。俺を守って傷つき倒れるマリアとリン、魔物に囲まれてもろみと俺しかもう残っていない。


これじゃ、ダメ社員だった時と同じじゃないか……みんなを守れず、全部ダメにして……絶望してしまった俺にもろみがニカッと微笑み

「ゴリラ族のいい言葉あるよ。『今日あきらめても、明日起きたらあきらめるのをやめればいい』」

そう言ったもろみの全身がまっ白に輝きに輝き

「あなたにあきらめない明日をあげる。楽しかったあるよ。さよならね。今こそ命燃やす時!セイントシャイニングゴリラアタック!」

もろみの全身から放たれた命の光は広がっていき、王国中の幽霊と悪魔を消し去った。


それから半年が過ぎた。生きていたマリアとリンやアビスドラゴン、そして引退したはずの高齢の前王と俺はパーティーを組んで鍛え続けた。マリア、リン、前国王は武術を極め、俺は捕まえてきた幽霊や悪魔とも話せるように猛勉強して、彼らを仲間にできるようになった。


風の吹く丘にあるもろみの墓に参って「必ず魔王を倒す」と誓ってから、魔王城目指して旅立った。


第4章 結


アビスドラゴンに乗った俺たちは魔王軍の拠点に次々と乗り込んでいき、猛攻に耐えながら拠点の長を探し出し、俺の話し合いの能力で次々に仲間にしていった。

そんなことを繰り返し、とうとう残るは魔王城だけとなった。

俺が仲間にした人間と魔物の大軍勢が天までそびえ立つ魔王城に攻め入っている上をアビスドラゴン乗った俺たちは上昇していき、一挙に魔王城の最上階へと突っ込んだ。


瓦礫となった玉座の間から浮かび上がった魔王の顔に俺は見覚えがあった。彼は数年前女性問題で芸能界を強制引退させられた大物芸能人だった。

「俺は世間を笑わせてきたんや!なんでやめなあかんのや!」

目や口か激しいビームや炎を吐き出す元大物芸能人に俺は泣きながら

「もう、もういいじゃないですか!どうしてシュールな喜劇を作ってきたあなたが、まさにシュールな喜劇のオチのような終幕を飾ったのを気付かないんですか!人生かけたギャグで最高に面白いでしょ!」

今までの全ての力を込めた言葉を魔王に放つ。

「……それもそうやな」

魔王はそういうと全身から光りを放ち、そして弾けて消えた。


全てが終わった。祝勝パーティーを一人抜け出し、もろみの墓を参っていた時だった。

「兄ちゃん、俺と帰ろか」

半透明な魔王から話しかけられる。少し迷ったが

「帰りましょう」

と俺は言った。


完。

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