虚ろな縁日
stdn0316
第1話
大学の夏休み、地元に帰省すると、実家近くの公園で夏祭りをやっていた。
今まで知らなかったので驚いた。最近始まったのだろうか。
実家では特にやることもないため、夜に行ってみることにした。小規模だがいくつか屋台も出ており、中央では何人かが盆踊りのような動きをしながら輪になって周っている。
輪の近くで、同級生に会った。中学までは一緒に遊んだりしたが、高校が別れてから疎遠になってしまっていた。
お互い偶然の再会を喜び、酒を飲んだ。気分がよくなってきた。
この祭りの存在は、彼も知らなかったようだ。
輪にいる1人から声をかけられた。
「兄ちゃんたちもこっちこいよ!人が多い方が寂しくないからさあ」
2人で15人ほどの輪に加わった。何の踊りか分からないが、聞こえてくる歌に合わせて適当に踊った。
普段、そこまでノリのいいタイプではない。しかしやけに楽しかった。
しばらく踊ると、違和感に気づいた。
踊っている人数が減っている。半分くらいだろうか。
ふと前方に目をやった瞬間、前を踊っていた人間が消えた。そういえば友人の姿もない。
後ろを振り返ると、虚ろな目をした男性が手を合わせてぶつぶつ言っている。
歌に聞こえていたのは、踊っていた人間が唱えていたお経だった。
全速力で家まで向かった。公園を離れても、お経が耳から離れなかった。
あとで親に聞くと、そんなところで祭りなど行われたことはなく、公園といっても老朽化した遊具が撤去されて以降手つかずの空き地だという。
その後友人に会うことはなかった。
虚ろな縁日 stdn0316 @stdn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます