二人は共に

久遠 れんり

愛の形

 彼女は幼馴染み。

 だけど困った癖がある。

 人が持っているものを欲しがる。

 でも手に入れると、途端に興味を失う。


「これ欲しい」

 そう言われると僕は答える。

「欲しいならあげるよ」

「じゃあ要らない」


 子供の頃から、幾度も繰り返された事。

 そんな彼女、冷子は美しく聡明に成長をする。

 だけど、人間、性根は変わらない。


「脇役君、私に好きと言うのなら、まず彼女と別れるのが本当でしょう?」

「そうだな、別れてくる」


 彼女に魅せられた脇役君は、滑稽にも彼女に別れを告げる。

 だけど……


「そう、別れたの。でもあなたと付き合うとは、私は言っていないわよ」

「ふざけるなぁ、あいつとは二年も付き合っていたんだ。それなのに」

「それは、あなたの都合、私のせいじゃないわ」

 そうして、脇役君は冷子を襲う。


「それで満足なの?」

 自身が汚されても表情一つ変えない彼女。



 だけど……

「ひどいのよ彼ったら、腹いせに襲われたの」

「それはひどいな。でも、それは冷子がステキだからさ、おれは、気にしないよ。で、どんな風にされたんだ」

 話を聞きながら、彼は私を愛してくれる。


 幼馴染みの蒼真そうま

 彼は、小学校に入る前からの友人。

 私のことを見続け、そして離れなかった人。


 大抵、私の本性に気がつき、皆離れていった。

 私の性格は悪い。

 形あるものを壊すと、すっきりとする。


 これは、子供の頃、両親の離婚が切っ掛け、その時に始まった。

「冷子は要らない。君が育てろ。性悪な君にそっくりだ」

 そう言って、父から否定された。


 そして、同じく蒼真は、母親に捨てられた。

「こんな気持ちが悪い子、要らないわ」

 まあ、双方共、再婚をするために不要だったのだろうが、子ども達の心は傷つき歪んだ。


 私は、幸せなカップルを求めて、その本性を曝き壊す。

 その話を聞きながら、時に別の男と行った行為を聞いて彼は興奮をして喜ぶ。

 そして、私を求め愛し、甘やかす。


 その姿を見て、私はぞくぞくする。

 もし、蒼真に別れようと言っても、彼はきっと待ち続ける。

 私には彼しかいないことを知っている。

 それに彼には、同じく私しかいない。


「あいつら、無能なくせに付き合っているらしい。生意気だよな」

 彼は、私をコントロールして、けしかけていると思っている。

 だけど私は、興味だけで動いている。


 あの男は、どんな愛し方をするのだろう。

 奪えば、彼女は、どんなに悔しそうな顔をするのだろう。

 ぞくぞくする。


「ひどいわ、彼に襲われたの」

「ああ、僕の冷子。こんなに傷ついて」

 そう、言い換えれば、公然の浮気。


 全てを彼に報告をして、慰められて愛してもらえる。

 私は、浮気をすることで、彼に必要とされる。


 彼は色々なことに興味を持ち、知りたがる。

 その行為が、彼の母親を恐怖させた。


 彼は、言わば天才。

 その事を知っているのは私だけ。


 私は、自身の歪んだ愛を、誰かに愛されたいと思う心を埋めるために男を求める。


 彼は、自身の興味を、情報を求めて私を求める。

 それはひどく歪んだもの。


 だけどそれが、私たちがお互いに求める愛の形。

 絶対に、他人には理解されない歪んだもの。


 もし失うとき、私たちはきっと相手を殺すことになる。

 それほど深く歪んだもの。


 いえ、どうかしら?

 私がいなくなれば、彼は誰かを探しに行くかもしれない。

 捨てられたくない。

 でも学校では、噂が広がり駄目になった。


 なんとかしなければ……

 彼の目を、私に向けるために、私は私の心を満たすために、今日からは、明るいネオンに向かって歩き始める。


 獲物を探して……



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 お読みくださり、ありがとうございました。


 うーん。狂愛と言うものを、普通の感じで書くとどうも。

 一方的な愛か双方か、求めるだけなら熱愛とか、狂愛ではないですよね。


 異常な執着、異常な感覚?

 経験の無い物は、書きにくいですね。

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二人は共に 久遠 れんり @recmiya

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