リモートコントローラーズ
藤本健二
リモートコントローラーズ
僕はふとテレビが見たくなった。リモコンを握り、電源ボタンを押そうとする。
僕がボタンを押すために、僕のお母さんは、僕を動かすリモコンのボタンを押そうとする。
お母さんが僕のリモコンのボタンを押すために、今玄関から帰ってきたお父さんが、お母さんを動かすリモコンのボタンを押そうと思う。
お父さんがお母さんのリモコンを動かすために、隣の山田さんが窓越しに、お父さんを動かすリモコンのボタンを押そうとした。
隣の山田さんがお父さんのリモコンのボタンを押すために、山田さんの七歳になる子供が山田さんを動かすリモコンのボタンを押そうと思いつく。
山田さんの子供が山田さんを動かすリモコンのボタンを押すために、たまたま家に来ていた山田さんの子供の友達の立花くんが、山田さんの子供を動かすリモコンのボタンを押そうとする。
立花くんが山田さんの子供を動かすためのリモコンのボタンを押すために、たまたま車で通りかかった担任の上田先生が、立花くんを動かすためのリモコンのボタンを押そうと心に決める。
上田先生が立花くんを動かすリモコンのボタンを押せるように、後部座席に座っていた上田先生の彼女の優里亜が、上田先生を動かすためのリモコンのボタンを押してやると思い立った。
優里亜が上田先生を動かすためのリモコンのボタンを押すことができるように、すぐそこで犬の散歩していた隣の山田さんの奥さんが、優里亜を動かすためのリモコンのボタンを、犬にも注意を向けながら押そうとした。
隣の山田さんの奥さんに優里亜を動かすためのリモコンのボタンを押させるために、山田さんの奥さんをストーカーしていたフリーターが、山田さんの奥さんを動かすためのリモコンのボタンを押そうとする。
ストーカーのフリーターが山田さんの奥さんを動かすためのリモコンのボタンを押せるように、さらにその後ろをすたすたと歩いていたサラリーマンが、ストーカーのフリーターを動かすためのリモコンのボタンを押そうとした。
サラリーマンがストーカーのフリーターを動かすためのリモコンのボタンを押せるようにするために、通りかかった大きな公園の滑り台のてっぺんでポーズを決めていたガキ大将のタケシが、サラリーマンを動かすためのリモコンのボタンを押そうとした。
ガキ大将のタケシがサラリーマンを動かすためのリモコンのボタンを押すことができるように、公園の上空を飛んでいた旅客機のキャビンアテンダントが、ガキ大将のタケシを操るリモコンのボタンを押そうと決めた。
キャビンアテンダントがガキ大将のタケシを動かすためのリモコンのボタンを押せるように、旅客機に搭乗していたとある有名人が、キャビンアテンダントを動かすためのリモコンのボタンを押そうと心に決めた。
とある有名人がキャビンアテンダントを動かせるリモコンのボタンを押すことができるように、目の前に設置された自立コンピューターが、とある有名人を動かすための内蔵されたリモコンのボタンを押すんだと決意した。
自立コンピューターがとある有名人を動かすためのリモコンのボタンを押すために、コンピューターを開発した日本の金沢博士が、自立コンピューターを制御するリモコンのボタンを押そうとした。
金沢博士が自立コンピューターを制御するリモコンのボタンを押せるように、それを生放送していたカメラマンの鈴木が、金沢博士を動かすためのリモコンのボタンを空いている方の手で押そうとした。
カメラマンの鈴木が金沢博士を動かすリモコンのボタンを押すことができるように、テレビで生放送を見ていた僕は、カメラマンの鈴木を動かすためのリモコンのボタンを押した。
その瞬間、カメラマンの鈴木がボタンを押し、続いて金沢博士がボタンを押す。次に自立コンピューターが内蔵リモコンのボタンを押すことで、とある有名人はボタンを押すことができる。そして、キャビンアテンダントがボタンを押し、ガキ大将のタケシがボタンを押す。その後、サラリーマンは流れるようにボタンを押し、それに呼応するようにストーカーのフリーターがボタンを押す。それで、山田さんの奥さんはボタンを押し、そのまま優里亜がボタンを押す。続いて、上田先生がボタンを押し、立花くん、山田さんの子供、山田さんが連続してボタンを押していく。そして、お父さんがボタンを押し、お母さんがボタンを押すことで、僕はようやくテレビのリモコンの電源ボタンが押すことができて、見たかったテレビを見ることができると思ったのだが、すでにテレビは点いていて、謎の博士が研究所を紹介している生放送が流れていた。それに手元には、「カメラマン 鈴木」と書かれたリモコンが置かれていて、僕はそれをひどく不気味に思った。
リモートコントローラーズ 藤本健二 @hayabusahideto
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